王者の余裕や! 阪神は19日、兵庫・西宮市内で首脳陣のスタッフ会議を開き、2月の春季キャンプの1軍メンバーを発表した。

ドラフト1位の下村海翔投手(21=青学大)の2軍スタートが決定。故障のない即戦力ルーキーでは異例だ。鳴尾浜の新人合同自主トレでは初めてブルペン入りも、岡田彰布監督(66)は焦らせない方針を示した。投手陣の充実という強みを生かし、次代のエース候補をじっくりと1軍戦力に仕上げる。

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猛虎の長い歴史で、異例の措置だろう。ドラフト1位の下村がプロ初の春季キャンプを2軍で迎える。表だった故障はない。即戦力ルーキーに、重圧のかからないファームの環境で、調整の時間をたっぷりと与えられる。充実した投手力を背景にした岡田流の調整プランだった。

「そんな無理させる必要ないしな。これから(状態を)上げていけば支障はない。そこまで2月1日に合わせる必要ないもんな。1軍となったら、10日間、自分なりにピッチを上げるやろ? 2月1日は練習のスタートの日なんやから」

青学大1年の12月には右肘クリーニング手術と軟骨再生手術を行い、1年以上に及ぶリハビリ生活を経験した。今回は故障歴に配慮した形となった。

新人合同自主トレでは順調に調整を進めている。下村は初めてブルペン入り。和田2軍監督や久保田投手コーチらが見守る中、捕手を立たせて20球を投じた。「7割、8割くらい」の力の入れ具合で、躍動感のあるフォームを披露。最速155キロの片りんを見せた。「全力投球というより、マウンドの感触とか、傾斜を使っては久しぶりだったので、そういうところを確かめながらやっていました。いろんな人に見られながら、いい緊張感で投げられたと思います」と充実の表情を見せた。

その投球は“新人王級”だった。片山ブルペン捕手は「ドラ1らしい安定した球筋。ちょっとカット系の真っすぐが多かったかな。武器になると思うし、キャンプで仕上げていったら」と証言した。昨季10勝を挙げ、リーグMVPに輝いた村上の「真っスラ」のような軌道を描く。

2軍スタートにも表情を変えなかった。「どっちにいてもやることは変わらない。(キャンプ中に)機会があれば、もちろん1軍で活躍できるようにと思って練習したいと思います」。昨年の春季キャンプではドラフト1位の森下が右足肉離れで2軍スタートとなったが紅白戦で初安打を放ち、2月中旬に1軍昇格を果たした例もある。ベールを脱いだ即戦力右腕は、焦らず自分と向き合う。【村松万里子】

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