ソフトバンクのドラフト1位、前田悠伍投手(18=大阪桐蔭)が日刊スポーツの単独インタビューに応じ、将来のエース像を語った。球団が考案した特別育成プログラムに沿って、ブルペン投球はお預け。世代NO・1の金の卵は球団に恩義を感じつつ、結果での恩返しを誓った。春季キャンプ初の休日だった5日は、宮崎市内でパイロットの実技を体験した。【聞き手=只松憲】

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-プロ入り後初のキャンプは第1クールが終了

前田悠 プロの雰囲気にも少しずつ慣れてきました。これから完全に慣れて流れをつかんで、自分のペースで調整していきたいところです。

-キャンプでは、普段顔を合わせない先輩が多数

前田悠 A組の先輩はなかなか会う機会がないので話せてないんですけど、B組の先輩はいろんな方と話しました。いい環境でやれてます。ただ、尊敬する和田さんにはまだあいさつ程度しかできていなくて。お互いに練習や移動もあるのでなかなか話せなくて、憧れのキャッチボールもまだできていません。多分、まだまだできないです。

-倉野1軍投手コーチから言われることは

前田悠 「焦るな」と。これは毎回のように言われます。僕も「分かりました。焦りません」と言いますし、自分でも「焦らず焦らず」と思っていたので。

-球団が考案した特別育成プログラムで練習中

前田悠 球団から将来について考えてもらってるなぁと、すごく伝わります。大事にしてくれていますし、それに結果で応えないといけない。自分のやるべきことをやって自分の立ち位置を見つけていければいいなと思います。

-春季キャンプはどういう期間にしたい

前田悠 まずはけがなく終えることが一番の目標です。いろんな先輩を見て吸収して、自分の成長につなげたい。小久保監督からも「焦るなよ」と言われます。大卒・社会人の方はすでにブルペンにも入っていて先に進んでいる。でも自分は違う。投げるのはキャッチボールだけっていう日もありますし、じっくり育成を受けています。人とは若干メニューも違うので、球団の方からは「自分だけブルペンに入れないって思うのではなく、高卒と大卒・社会人の体の違いを加味しているから」と言われているので納得しています。とにかく「焦るな」と言われますね。

-入団当初から目標の上方修正などはあるか

前田悠 何も変わってないです。一緒です。ソフトバンクでエースになりたいですし、和田さんのようになりたい。その思いだけです。

-未来のエース候補。どんなスター街道を歩む

前田悠 けがなく投げるのが大前提。力を積み重ねて大事な試合を任される選手になりたい。最終的には球界を代表する投手、日本代表にも選ばれたいですし、大事にしてくれている球団に恩返しがしたい。

-大阪桐蔭の看板はずっと背負うことになる

前田悠 それは常に意識しています。大阪桐蔭出身という肩書でこの世界に入ってきたので。ドラフト1位ですし、自分で大阪桐蔭のイメージが決まると言ってもおかしくないと思っています。その自覚を持ってます。

-最近は西谷監督から連絡はあったか

前田悠 大阪桐蔭のセンバツ出場が決まった時に、お祝いの電話をさせていただきました。その時はちょうどキャンプの振り分けが決まった時だったので「B組になりました」と報告もさせてもらって。それが最後ですね。「どうや?」と聞かれたので、近況について話しました。

-同期との仲は

前田悠 仲は良いですよ。大卒・社会人の方が5人いますが、たわいもない話で盛り上がります。ドラフト2位の岩井さんは4つ上の先輩ですが、たまにタメ口を使っちゃったり…(笑い)。でもそれぐらい仲は良いって感じですね。

-チーム宿舎では普段通り生活できているか

前田悠 しっかり寝られていますし、ご飯もしっかり食べてるので充実してます。外食とかはまだしてません。出る予定もあるんですけど、僕はあまり出ないですね。もちろん高校時代はそういうのはなかったので。いつも部屋でのんびりしています。

◆前田悠伍(まえだ・ゆうご)2005年(平17)8月4日生まれ、滋賀・長浜市出身。小学6年時にオリックスジュニア選出。高月中では湖北ボーイズに所属。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。22年秋の神宮大会では大会初の連覇に貢献した。甲子園は春夏3度出場し、22年春優勝、同年夏8強、23年春4強。昨年ドラフト1位でソフトバンク入団。180センチ、80キロ。左投げ左打ち。

◆春季キャンプの前田悠 当初は福岡・筑後市のファーム施設で行うC組(3軍)発進も考えられたが、宮崎キャンプのB組(2軍)に抜てきされた。小久保監督は「彼には特別育成プログラムができ上がっている。宮崎に連れていく理由はドラフト1位(だから)。この世界に平等はないので」と“特別扱い”を許した。第1クールはブルペンでのシャドーピッチングまで。400メートル走も65秒以内で計2本のノルマ内で完走した。