「岡田監督ー!」。車を降りて球場へ向かう阪神岡田彰布監督(66)へ、たくさんのうれしそうな声が飛ぶ。手を挙げてネット越しのファンに応える姿を、今春のキャンプで毎朝のように見ていた。

ある朝には、球団公式マスコットのトラッキーが「トラッキー、岡田監督呼んでー!」とファンに頼まれ焦り顔? になると、近くのテントにいた岡田監督はにやり。「ここは1つ…」とお願いするようなトラッキー。すると、指揮官は“おとこ気”を見せ、テントから歩み出て手を振った。ファンの大喜びする姿を見て、岡田監督のユーモアとファン思いの姿を感じた。

観客がたくさん集まる休日のランチ特打には必ず、柵越えで沸かすことのできるスラッガーを並べた。「去年から言うてるけどな。土日は大物にしとけよと。小物はあかんでって。内野の頭越すようなんばっかりはあかんでと。土日はお客さん多いから。だからああしたんちゃう」。岡田監督らしい言い回しで、その意図を説明していたことがあった。

17、18日と土日に練習試合が組み込まれていた時には、前日の金曜日のランチ特打に大山悠輔内野手(29)、佐藤輝明内野手(24)の主砲2人が並んでいた。「明日あさってできへんからなあ、そら、おーん。大物は土日にせい言うてたんやけどな、試合やったらできへんやろ」。ここまで徹底していた。初の対外試合となった17日の楽天戦(宜野座)には「最初は宜野座なので、ファンの方もたくさん来ると思うので、顔見せじゃないけど、主力も元気にやってますみたいなね」と言って、昨季の日本一オーダーをスタメンにずらりと並べていた。

キャンプはもちろん、シーズンを戦う戦力を鍛え、見極める場所。球団初の連覇へチームとして充実の時間となったようだ。その一方で、ファンも心から楽しめたキャンプになったのではないかと思う。【磯綾乃】

【関連記事】阪神ニュース一覧