今季から新規参入したくふうハヤテの歴史的一戦は、完敗に終わった。オリックスに1-9で敗れ、本拠地で迎えた開幕戦を白星で飾ることはできなかった。開幕投手を任された早川太貴(24)が9安打7失点で4回降板するなど、投手陣が16安打を浴びて9失点。打線も5安打1得点に終わった。16日も同会場でオリックスと対戦する。

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くふうハヤテ最終9回裏の攻撃。1死からの連打で一、二塁とすると、球場全体から手拍子が湧き起こった。“一丸”の反撃。しかし後続が倒れ、無得点に終わった。赤堀元之監督(53)は「ファンの人が後押ししてくれて感動した。打って、点を取りたかった」と唇をかんだ。歴史的な一戦は完敗で幕を閉じた。

1軍での開幕投手も決定的なオリックス先発・宮城大弥投手(22)が、新球団の前に立ちはだかった。昨年のWBC代表左腕の緩急自在の投球に打線が沈黙。元DeNAの倉本寿彦内野手(33)が2回にチーム公式戦初安打を放ったが、つながらない。5回を散発2安打に抑えられた。

投手陣も精彩を欠いた。3投手が登板し、計12四球と乱調。先発の早川が3ランを被弾するなど、16安打を浴びた。指揮官は「打たれることはしょうがないが、四球は1つでも少なくしなければ上にはいけない」と厳しい表情で話した。

それでも6回1死一塁。代打の富山太樹外野手(23)が相手2番手の東晃平投手(24)から右中間へ適時二塁打を放ち、記念すべき初得点を奪う意地は見せた。富山は「次は勝ってる姿を届けたい」。赤堀監督も「やるからには勝ちたい。できなかったことをもう1度反省して、次につなげたい」。悔しい結果となった第1歩を糧に、初勝利を目指す。【前田和哉】

○…静岡高出身の竹内奎人投手(24=群馬大医学部6年)が、5回から2番手で登板した。3回を投げ、3安打4四球2失点。「課題が多くでた試合だった」と振り返った。登板後には、この日発表された医師国家試験の合格を確認。試合には敗れ“ダブル勝利”とはいかなかったが「合格できてほっとした。医師への道はいったん置いておいて、ここから野球に100%集中していきたい」と決意を新たにした。

○…試合前に開幕セレモニーが行われた。冒頭、球団を運営するハヤテ223の杉原行洋代表(46)が「多くの方に支えられ、やっとこの日を迎えることができました」と感謝を述べた。この日、静岡市の難波喬司市長(67)も駆けつけ「歴史が始まります。みんなで盛り上げていきましょう」とあいさつ。始球式も務めた市長は「光栄。自己評価は100点」と満足げ。歴史的な一戦を一目見ようと平日にもかかわらず1631人が来場。沼津市の会社員谷口恭大さん(35)は「年に数回のプロ野球が地元で応援できて本当にうれしい」と声を弾ませた。試合後、監督と選手による見送りイベントも行われ、ファンとの交流を深めた。