<中日8-0広島>◇21日◇ナゴヤドーム

 「代打の切り札」の仕事だった。中日立浪和義内野手(38)は3点リードの6回1死一、二塁で山本昌の代打で打席に立った。カウント1-2からの4球目。鋭いスイングで大竹の145キロ直球を右中間にはじき返した。2点適時二塁打で5-0。山本昌の198勝目を確定的にした。

 「打てるボールをいこうと思った。自分は今年1回もチャンスで打ててないんで思い切って行きました」

 「ミスター二塁打」の面目躍如だ。今季6本目の安打は、得点圏に走者を置いて飛び出した初めてのヒット。しかも長打が欲しい場面できっちり打ち返した。5月25日ソフトバンク戦以来の二塁打で、歴代最多の二塁打数は480本。通算2450安打中、約2割近くが二塁打となっている。

 結果が出なくても、努力を忘れない。兼任コーチとなった今年、ナゴヤドームでのゲームは練習開始の1時間半以上前に会場入り。レギュラー時代よりも30分早くなった。この日の試合前はグラウンドに姿を見せずに、打撃練習場で黙々と特打を敢行。常にベストを尽くす準備を整える。

 立浪は、最近4試合で3安打と調子も上向き。19日阪神戦では今季5本目の安打を放った際は、関係者に「打率が1割を超えたよ」と苦笑いを浮かべていたという。「やっとちょこちょこ出始めたから、これから先もあるし、挽回(ばんかい)していきたい。山本さんもあと2勝なので、ちょっとでも貢献できるように頑張ります」と穏やかな表情で言った。【益田一弘】