<巨人2-3中日>◇24日◇東京ドーム

 清原越えだ!

 G倒だ!

 中日立浪和義内野手(39)が1号同点ソロで巨人戦今季初勝利を導いた。0-1の8回に代打で登場。3番手豊田の直球を右中間スタンドにたたき込み、延長10回逆転勝ちを呼び込んだ。これでプロ1年目から22年連続本塁打とし、PL学園の先輩にあたる清原和博氏(41=日刊スポーツ評論家)の21年連続を越え史上3位タイに浮上。打撃コーチ兼任のミスター・ドラゴンズは、勝率5割に復帰したチームの切り札として現役ラストイヤーを走り抜ける。

 一振りで仕留めた。0-1の8回表。立浪は先頭の9番山井に代わる代打で登場。3番手豊田のカウント1-1からの143キロの真っすぐをファーストスイングでとらえた。好投山井の黒星を消し、延長10回の逆転勝ちを導く1号同点ソロ。右中間スタンドへの着弾を見届けると驚いたように口をとがらせ、四つのベースを一気に駆け抜けた。

 「(力が落ちて)ボールが飛ばなくなっているからホームランなんてありえないと思っていた。必死に走りましたよ。ホームに返ってきたら足が張ってました。山井が頑張っていたので何とかしたかった」

 一振りで決めるだけの理由があった。1点ビハインドのまま6回が終わると、ファウルグラウンドに飛び出して素振りを行った。想定される出番はまだ先。それでもベンチ裏でなく、あえて実戦の空気の中で気持ちを高めた。7回にはネクストバッターズサークルでスタンバイ。代打の切り札としての勝負勘なのか、この日はとくに入念に準備を整えていた。

 通算171発目で、プロ1年目のデビュー以来22年連続本塁打。PL学年の2つ上の先輩・清原氏の21年連続を越え、史上3位タイに浮上した。尊敬する清原氏は通算525発の“アーチスト”。「ボクはホームラン打者じゃない」という立浪は、センスとテクニックをフル活用し、スタンドインさせるだけのパワーを合理的にはき出すことで記録をつないできた。今春沖縄キャンプに激励に訪れてくれた清原氏は、ここまで現役を続けてこれた大きな支え。清原氏の記録を超えたことに「そうなんですか」と驚いた。

 現役ラストイヤーの今季は、コーチ業、選手業のどちらにも全力を注ぐことを決めている。移動日即ナイターのハード日程にもかかわらず、1軍合流したデラロサに声をかけるなど気配りも忘れていない。V奪回への切り札の役割は、やはり誰にもまねできそうにない。【村野

 森】

 [2009年4月25日12時17分

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