<中日10-4日本ハム>◇25日◇ナゴヤドーム

 落合中日が「5度目の正直」で勝率5割復帰だ。あと1勝に迫りながら過去4度失敗していたが、ようやく借金生活から脱出した。1点リードの7回、相手失策をきっかけに今季初の1イニング7得点で勝負を決めた。5回には相手打撃妨害から同点と、ラッキーが重なった。5割は4月27日以来1カ月ぶり。上位追撃態勢がようやく整ってきた。

 これまでのうっぷんを晴らすかのような「ビッグ・イニング」だった。3-2で迎えた7回、しびれるような展開を打ち破った。1死から谷繁が相手一塁手ヒメネスの失策で出塁したのが猛攻の合図だった。一、二塁から井端が左翼線を破って待望の追加点が生まれた。さらに荒木、ブランコの適時打で7-2と突き放すと、藤井が中前に2点タイムリーをはじき返して、とどめを刺した。

 「3-2のまま行くのが今までの流れだったんだけど、あそこで点がとれたのは大きい」。今季最多となる1イニング7得点をたたき出した打線の気持ちを代弁したのは井端弘和内野手(34)だった。ここまでの交流戦5試合で1点のみに終わったのが3試合。先制しても、追加点が奪えない。あと1点あれば-。奮闘する投手陣を見殺しにする試合が続いた。

 5回にも2-2に追いつく適時打を放った井端が言った。「しっかり守って取れる時に取れば勝てる!」。得点圏打率が4割を超えるポイントゲッターを中心に打線がつながり始めた。堅守でしのいだ後、相手のミスにつけ込んで一気に勝負を決める。オレ竜に本来の形が戻ってきた。

 借金生活に突入してからちょうど1カ月。その間に4度王手をかけて、5度目でようやく完済した。落合博満監督(55)は「野球って不思議だよな。見えるミスと見えないミスが重なったらこういう試合になっちゃう。まだミスばかりだよ」と試合運びに注文をつけた。ただ、その一方でひそかな手ごたえも感じていた。

 この日、開幕2軍だった李を2カ月ぶりに1軍に復帰させ、即スタメン起用した。李は3打数無安打だったが、同じ外野手の藤井が先制の7号ソロを含む3安打3打点と大爆発。「ビョン(李)が上がってきて、やっと構想通りになった。これで尻に火がつくよ」。指揮官は李の昇格がチームに競争意識を生んだと感じたようだ。

 「1試合、1試合やるしかない。自分としては(競争のある)こういう状況をプラスにしていかないといけない」。指揮官に尻をたたかれた藤井は目をぎらつかせた。これで2位ヤクルトに3ゲーム差。打線の復調で、いよいよ逆襲体勢が整ってきた。【鈴木忠平】

 [2009年5月26日11時46分

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