<日本ハム1-7楽天>◇8日◇札幌ドーム
怪物の勢いは、マー君をものみ込んだ。日本ハム中田翔内野手(21)が、公式戦初対決の楽天田中将大投手(21)から、4試合連続本塁打となる8号ソロを左翼席に運んだ。凡退した打席で配球を読み、8回の第3打席で内角球を狙いすました。11試合で8本塁打と驚異のペースで、そのすべてを第3打席以降で放っている。力と技、そして読みで西武涌井、ソフトバンク和田ら各球団のエース級を撃破した。真っ向勝負で完封を逃した田中は「悔しいです」と振り返った。
4万人超の日本ハムファンは、完敗にも大満足で家路に就いた。7点を追う8回、先頭打者の中田のバットから弾丸ライナーが左翼スタンドに向けて一直線に伸びた。「打った瞬間、入ったとは思いました。球界を代表する投手だし、三振して当たり前の気持ちでいきました」。北海道民にも親しまれ、完封目前の田中を脇役へと追いやった。
高校時代、夏の甲子園で1度だけ対戦した田中と、プロ初の公式戦対決。配球を読み、狙い球を確実にとらえた。2回の第1打席は低めのフォークを空振り三振。5回はスライダーで一飛に打ち取られたことで、考えはまとまった。「思った以上に変化球が多かったけど、次は速いボールでねじ伏せにくると思った。変化球ならしょうがないという気持ち」。カウント1-1から内角141キロのツーシームをコンパクトに振り抜いた。
驚異的なペースで量産する本塁打には、共通点がある。8本のうち7本が3打席目で、残り1本は4打席目で放った。中田は試合前のミーティングこそ熱心に聞くが、試合中に打撃コーチにアドバイスを求めたことはないという。自分が対戦した“肌感覚”で球種を絞っていく。「1、2打席目で立った後だと、特に余裕を持って(打席に)入れます」。打球を飛ばす才能に読みが加わって、対戦を重ねるごとに“危険度”は増していく。
7回の守備では、安打で出塁した楽天山崎と一塁塁上で初めて話した。山崎に「お前やんちゃなんか」と尋ねられると「ハイ、やんちゃです」。ジョーク交じりに「お前バカなのか」と突っ込まれると思わず「ハイ」と答えた。たわいもない会話だが、山崎が中田を認めた証しでもある。「礼儀正しくいいやつだよ。(打撃も)オレよりすごい」と、パを代表する本塁打アーチストが、一目置くほど存在感は増している。
梨田監督は「大味な試合の中、多少なりとも(ファンを)楽しませてくれた。今日は監督として、中田翔に感謝します」と頭を下げた。21歳の中田と1学年上の田中。チームの勝敗を度外視しても熱くなれる「黄金カード」は、この先何年も続くだろう。「またやらせてもらう機会があれば、全力でやりたい。すごい投手の打席に立てるのはうれしいし、勉強させてもらえるので楽しみ」。切磋琢磨(せっさたくま)が、お互いを成長させる。2人の対決が、プロ野球史に残る名勝負となっていくに違いない。【本間翼】
[2010年8月9日8時34分
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