<巨人7-0広島>◇8日◇東京ドーム

 不振が続く巨人先発陣に救世主が登場した。楽天からトレード移籍した朝井秀樹投手(26)が移籍後初登板し、7回2安打無失点。2季ぶりとなる勝利を挙げ、お立ち台では涙を浮かべた。打線は10安打7得点と投打がかみ合い完勝。敗れた2位阪神とのゲーム差を1・5に広げた。

 巨人朝井は込み上げる感情をぐっとこらえた。初めての東京ドームのお立ち台。「家族にはつらい思いをさせてきた。何とか白星をプレゼントできて、ほんまよかったです」。マウンドでは顔色を変えず、強気の投球を続けたプロ9年目が、目を潤ませながら、2年ぶりとなる1軍勝利の味をかみしめた。

 「昨日はなかなか寝付けなかった」ほどの緊張の中で迎えた移籍後初登板で、堂々のマウンドさばきを披露した。140キロ台の直球と持ち味の大きなカーブ、フォークで広島打線を翻弄(ほんろう)。緩急を使い、的を絞らせなかった。「阿部さんのミットを目がけて、思い切り腕を振りました」。躍動感あふれる投球で、7回を無四球で2安打無失点に封じた。

 かつて岩隈、田中とともに楽天の「3本柱」と呼ばれた。だが、今季の1軍登板は7月8日のロッテ戦のみ。しかも、田中の戦線離脱を受けての先発だった。「試合で投げることに飢えていた」と、2年分の思いをマウンドにぶつけた。

 そんな朝井を支えたのが沙耶佳夫人だ。7月29日、ジャイアンツ球場での練習初日、「東京は初めてなんで、右も左も分からんですよ。全部嫁さんに任せちゃってます」と打ち明けた。夫が野球に専念できるよう、都内に住んだ経験のある夫人が、家探しをしてくれた。試合前にもらった「リラックスして頑張って」という励ましに応えるためにも勝ちたかった試合で、見事に恩返しした。

 原監督は「変幻自在の投球。全く非の打ちどころがなかった」と絶賛。今後も先発ローテの一角を担うことになった朝井は「優勝争いに貢献できるように頑張ります」と活躍を誓い、夫人にささげるウイニングボールを大事そうにお尻のポケットにしまった。投げることへの渇望と、家族への感謝を力にした“救世主”が、巨人を頂点に向けて加速させていく。【佐竹実】

 [2010年8月9日8時46分

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