巨人のドラフト1位ルーキー沢村拓一投手(22=中大)が15日の紅白戦で先発することが8日、分かった。川口投手総合コーチが明言した。4度目となるブルペン投球ではキャンプ最多の86球を投げ込み、直球に加え、切れ味鋭いスライダーも高評価を受けた。バッターボックスに立った同コーチから「松坂以上!」と褒めちぎられた。先発ローテーション候補という期待を背負い、初実戦のマウンドで鮮烈デビューを飾る日が近づいてきた。

 大いなる期待の表れだった。15日の紅白戦、沢村の実戦デビューは先発として用意された。川口投手総合コーチは「基本的にはスターターです。先発投手としてやって欲しいと考えてるので。断言はできないけど先発の可能性が高いです」と、即戦力ルーキーに期待を込めた起用であることを明かした。沢村も「自分の持っている力を出せたらいい」と、意欲を燃やした。

 実力を加味されての指名だった。この日のブルペンでは川口コーチをバッターボックスに立たせて投球。制球はまだ安定はしないが、内角からのスライダーに同コーチを一瞬のけぞらせ、思わず腰を引かせた。これまで威力十分の直球ばかりが注目されていたが、スライダーの切れ味も負けていない。同コーチに「(松坂)大輔よりキレはあると思います。回転がすごい。一瞬真っすぐかと思って曲がってくるから打者には脅威ですよ」と言わしめるほどのキレを見せた。

 中大時代は最速157キロに注目が集まった。大学1年時から独学で使い始めた球種ということもあり、スライダーで三振を取るタイプではなかった。「大学の時より曲がってると思います。統一球はうまく投げれば曲がると思います」と、一般的には滑りやすい統一球の影響を逆手にとってしまうほどだった。

 ブルペンを見守った原監督からは「(第2クール最終日で)体そのものはしんどい日。さらに上へ上へと立ち向かっている姿勢が非常に良い」と、お褒めの言葉をもらった。6日に指揮官が報道陣から「先発でどうか」と勧められ「そのことを理解した上でコーチにお伺いを立てます」と、考慮した結果の「先発」だった。初ブルペンでは力みを消すために「5割(の力)でいいぞ」とアドバイスを受けたが、この日は「今日は6割だな」と言われるなど、力の抜き加減は理想に近づいている。

 沢村自身はまだ自分の投球には満足していない。1日の初ブルペンでは川口コーチに酷評されたが、坂本のバットを真っ二つにした6日のフリー打撃から評価はうなぎ上り。「これから実戦に入っていくのでどんどん(ペースを)あげていけたらいい」。即戦力右腕が、開幕ローテーション入りに向け徐々に加速し始めた。【斎藤庸裕】

 [2011年2月9日8時18分

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