開幕バトル、バチバチ!

 阪神久保康友投手(30)と能見篤史投手(31)がそろって20日紅白戦に先発し、2イニングずつ登板した。久保は無安打、能見は4安打されたが踏ん張り、ともに無失点に抑えた。内容は久保が先手を取った形だが、能見も口で応戦。3月25日ヤクルト戦(神宮)の先発をかけ早くも火花を散らした。

 能見が3安打されながら無失点で切り抜けた1回裏のマウンドだった。久保は開幕は俺と言わんばかりの投球で、打者と球場のムードを圧倒した。

 先頭俊介こそ四球で出したが、続く平野は内角真っすぐで投ゴロ併殺。鳥谷は2球連続内角真っすぐで追い込むと、間髪入れず外角低めいっぱいに決めた。全球真っ直ぐで3球三振だ。1度もスイングさせてもらえなかった3番は、抜群のキレと制球にあぜんボウ然。続く2回も3人で抑え、主力相手に無安打で11年を発進した。悠々とマウンドを降りた。

 久保

 本気で打ってくる打者は今年初めてだったし、もうちょっと打たれる気がしてたのですが…。(開幕投手?)僕自身言われているわけじゃない。言われた時に初めて考えます。

 平静を装ったが、無意識でいられるはずもない。昨年14勝の勝ち頭右腕久保と一昨年13勝の勝ち頭で昨年8勝無敗の左腕能見のバトル。今季初実戦を同じ日の紅白戦先発に設定したところに、開幕投手を争えとの真弓監督の無言のゲキがうかがえる。互いのライバル心をくすぐるには十分すぎる舞台。そして左右の両輪も、順調な仕上げでしっかり期待にこたえた。

 能見も初回こそフラフラしたが、ホームは踏ませなかった。前日猛打賞で4打席連続安打がかかっていた高浜は藤井のサインに首を振り、フォークで貫禄の空振り三振に仕留めた。試合前から「久保には負けたくない」とむき出したライバル心が力みになったのか、2回で4安打を浴びたが譲らない無失点。粘り強く、要所を締めた。

 能見

 あそこまで打たれるとは思わなかった。質はあまり良くなかったです。

 反省ばかりを並べたが、久保について問われると、ニヤリと言った。

 能見

 (初回)先頭(俊介)にフォアボールはどうかと思うよ。

 挑発?

 それとも負け惜しみ?

 第1ラウンドの内容は久保に分があったが、負けん気は人一倍。ジョーク的な言い方で、チクリとやることも忘れなかった。

 3年連続大役を務めて勝利している安藤が右肩痛で開幕ピンチ。V奪回を目指す11年、左右の2投手にかかる期待は大きい。

 真弓監督

 久保はコントロールがよかった。能見はピンチになっても自分の投球ができる。2人は軸になってもらわなアカン。

 ゴングは鳴った。久保か能見か。3月25日、神宮のマウンドを目指して内なる闘いが熱くなる。

 [2011年2月21日10時23分

 紙面から]ソーシャルブックマーク