中日は4日、ナゴヤ球場で一部の2軍首脳に対し、来季の契約を結ばないと通告した。鈴木孝政監督(59)宇野勝総合兼打撃コーチ(55)高橋三千丈投手コーチ(56)川又米利打撃コーチ(53)前原博之内野守備走塁コーチ(46)早川和夫育成コーチ(53)の6人。今季限りで退任する高木監督に代わる新監督が未定の段階ながら、新体制に向けて地ならしが始まった。

 “高木チルドレン”が次々と呼び出された。鈴木2軍監督を筆頭に2軍練習を終えたコーチ数名が、ナゴヤ球場に隣接する選手寮「昇竜館」で球団フロントと話し合いに臨んだ。1人約15分間の面談で来季の契約を結ばないことを宣告された。半数以上が高木監督が2年前に呼び寄せたコーチだった。まずは2軍から、守道色があせていった。

 異例の大量退任は「粛清」とも言える人事だった。今季2軍はウエスタン・リーグで借金24を抱えて最下位。育成を第一に掲げるファームであっても、目に余る低調な成績だった。けが人も多く、フレッシュな人材を1軍に供給する組織としても機能しなかった。

 なぜ、この時期に?

 来季から1軍の指揮を執る新監督が未定。1軍は今季のレギュラーシーズンも終了していない。西脇編成担当は「1軍の方は新しくなられる監督さんの意向もある。ただ、ファームは球団主導でもできる」と理由を説明した。新監督招へいは白井オーナーが中心となり10月上旬をメドに進めている。誰が1軍監督に就任したとしても、ファーム部門は球団が主導権を握り、計画的に選手育成を進めたい考えがあるようだ。

 日程的な問題もあった。7日には教育を目的としたみやざきフェニックス・リーグが開幕する。確実に来季はチームを去るコーチ陣に任せるわけにもいかない。同リーグは1軍の渡辺内野守備走塁コーチが代理監督を務める。西脇編成担当は1軍のコーチ人事について「トップが決まればすぐにでもやりなさいとなる」と見通しを語った。今日5日のシーズン最終戦を境に、新体制に向けた動きが加速しそうだ。【桝井聡】