<セCSファイナルステージ:巨人3-0広島>◇第2戦◇17日◇東京ドーム

 やはりただ者ではなかった。巨人のルーキー菅野智之投手(24)が、CSファイナルステージ第2戦でプロ初完封勝利を飾った。フォークを多めに使い、常に有利なカウントで攻める盤石の内容。6回1死までは広島打線を無安打に抑え、終わってみれば9回3安打無失点。セ・リーグ史上初の完封劇だった。巨人は今日18日の第3戦に勝つか引き分けると2年連続での日本シリーズ進出が決まる。

 1人で王手をかけた。3点リードの9回。完封目前の菅野が、安打と四球で1死満塁のピンチを背負った。「少し緊張して、ヒヤヒヤした。でも、今までやってきたことを全部出そうと。後悔だけはしないように投げた」。1発が出れば逆転の場面で4番エルドレッドをにらみつける。阿部のサインにうなずいて投じた1球目は内角を鋭くえぐるシュート。「1発を狙っていた。甘いところから、うまく曲げられた」と、難敵を一邪飛に打ち取った。

 あと1人。少し気持ちが楽になったが油断はない。試合前にキーマンに挙げていた梵を打席に迎え入れる。ここでも、初球がカギだった。「いろんなボールで空振り、見逃しが取れていたので最後まで狙い球を絞らせなかった」と、外角ボールゾーンへのスライダーを振らせてストライク先行。最後は、この日、勝負どころで抜群の効果を発揮したフォークで中飛に切り捨て、試合を締めくくった。

 エース前田健を登板させた広島の「勢い」を「考える力」で封じ込めた。1月9日の新人合同自主トレの初日。練習前に掲げるテーマに漢字1文字で「考」と記した。前日16日、「今でも考えるということは変わらない。最初の練習だったので、今年1年のテーマとして意識した」と、今となれば懐かしい当時を思い起こした。「何のためにジャイアンツに入ったのか。自分は何を求められているのか。勝つために何をすればいいのか。常に考えてやってきた」と続けた。その習慣が大一番で投球を支えた。

 9月15日の広島戦。前田健との初対戦は、原監督が「子どものように蹴り飛ばされた」と振り返るように5回5失点で完敗した。敗因は単調に投げ込んだファーストストライクをことごとく狙われたことに尽きる。この日は緩いカーブ、ベース上で落ちるフォークを駆使した。「相手がマエケンさんだったので特別な感情もあった。向こうにも、こっちにも対策がある。その中で勝負はどっちが上かで決まる。今日は僕の方がちょっとだけ上だった」と、胸を張った。

 初のCS登板でプロ初完封。セ・リーグのCS史上初の完封をやってのけて歴史に名を刻んだ。最後まで投げ抜いたヒーローは「疲労感よりも達成感の方が強い」と即答した。日本最高峰の決戦へ。ルーキー菅野が、王者・巨人に勢いをもたらした。【為田聡史】

 ▼ルーキー菅野が11三振を奪ってセ・リーグCS史上初の完封勝ち。プレーオフ、CSで新人の完封勝ちは、06年2S第2戦八木(日本ハム)に次いで2人目。プレーオフ、CSの2ケタ奪三振は10年ファイナルS第2戦和田(ソフトバンク)以来6人、8度目で、新人では初めて。日本シリーズでも新人の2ケタ奪三振は00年第5戦で12三振を奪って完封勝ちした高橋尚(巨人)だけで、ポストシーズン史上2人目の快挙だ。菅野は6回1死から天谷に初安打を許すまで無安打。ポストシーズンで新人の先発投手が5回まで無安打は、75年日本シリーズ第3戦山口(阪急)に次いで2人目。山口は6回先頭に打たれており、先発して5回1/3を無安打はルーキー史上最長だった。

 ▼巨人がアドバンテージの1勝を含め3勝0敗とし、日本シリーズ出場へ王手をかけた。プレーオフ、CSで先に王手をかけた延べ23チームのうち、20チームがシリーズに進出。今回のように無傷で王手をかけたケースは過去12チームすべて進出。4戦先勝になってからセ・リーグのCSではまだ4勝0敗はないが、今年の巨人は?