「ライアン」の翌年は「招き猫」が登場した。ヤクルトは9日、神宮球場で新人合同自主トレを開始し、新入団6選手が参加した。キャッチボールでは、ドラフト4位岩橋慶侍投手(22=京産大)が、テークバックの小さい特徴のある投球フォームを披露した。

 約10分間の軽めのキャッチボールでも、独特な腕の使い方は目立っていた。曲げた左手を後頭部後ろに素早く持っていき、ギリギリまで球を離さない。「テークバックを小さく、見えづらいよう意識しながらやっています」と「招き猫投法」の狙いを説明。「(ロッテ)成瀬さんみたいに打ちづらい球を投げるのはもちろん、そのうえで切れも上げたい」と力を込めた。

 高校時代から、球の出どころが見えづらい投げ方を研究してきた。元祖「招き猫投法」の成瀬や阪神能見、ヤクルト石川、カブスとマイナー契約した和田ら技巧派左腕の動画を何度も見てきた。最速は141キロ。変化球もスライダー、カットボール、チェンジアップと球種は多くない。それでも、この投球フォームで関西6大学リーグ歴代4位タイとなる通算30勝左腕へと成長。春季キャンプも1軍スタートが内定している。

 両親からは「よろこぶ人に」との願いを込めて「慶侍」と名付けられた。「プロになったし、喜ばせる人になっていかないと」。昨年は小川が「ライアン投法」で16勝4敗の成績を残し、新人王を獲得した。岩橋も自分の投げ方を貫き、チームに福を招く。【浜本卓也】

 ◆岩橋慶侍(いわはし・けいじ)1991年(平3)4月23日、京都市生まれ。深草小1年から投手として野球を始める。京都すばるでは2年秋からエースで甲子園出場なし。京産大では関西6大学リーグで4年春に8勝するなど通算30勝。昨年ドラフト4位でヤクルトに指名された。185センチ、83キロ。左投げ左打ち。