<日本ハム8-2オリックス>◇3日◇札幌ドーム

 持ち前のサービス精神で笑いに変えたが、紛れもなく本心だった。「やっと開幕した武田です」。お立ち台の第一声。5度目の登板でようやく手にした今季初勝利に、日本ハム武田勝投手(35)はとにかくほっとしていた。「やっとチームの力になった。まず1つ勝ったことで、ここから余裕を持っていけると思う」。7回7安打2失点。糸井に先制打を許し、4回にも連打で失点した。内容に満足はできないが、何より結果がすべてだった。

 下半身を使えるように、重心を低くするかつての投球フォームに戻した。年齢とともに、体のコンディションも変わる。「楽して投げていた」。いつのまにか、体を起こして手投げのようになっていた。この日は今季最多92球。最後までしっかりと重心を落とし、平野恵を投ゴロに仕留めてお役御免となった。7月に36歳。「ベテランですけど、まだまだできるところを見せないと」。自虐気味に笑顔を見せた。

 開幕投手を務めた吉川とともに、勝ち星から遠ざかった。ともに2軍落ちを経験。「タイプは違うけど、悩みは一緒」。気がついた点は言葉に出し合い、お互いに高め合ってきた。今月1日、吉川が先に初勝利。「(影響は)大きかった」と、最高の発奮材料になった。

 ガムシャラだった。必死だった。ゆえに、忘れた。オフにこっそりと腕を磨き、ヒーローインタビューで披露するつもりだったオカリナ演奏。「忘れてたよ。(頭に)なかった」。技巧派左腕が奏でる音色は、次回以降にお預けとなった。【本間翼】