<オリックス7-2楽天>◇22日◇京セラドーム大阪

 ベテランが奮闘している。楽天松井稼頭央内野手(38)がオリックス戦で2試合連続左翼でスタメン出場した。前日は安打を処理しただけだったが、この日はフライを捕球した。ただ、その際、相手にスキを突かれ失点につながってしまった。一方で、バットでは二塁打を放ち、好走塁で先制のホームを踏んだ。チームは逆転負けで3連敗。借金は今季最多23となった。

 フル出場に、持てるエネルギーを惜しみなく注ぎ込んだ。2試合連続となる左翼でプレー。松井稼は「試合になると、いろいろな状況がある。試合や練習で慣れていくしかないね」と、自らに言い聞かすように話した。

 スキを突かれたのは、同点の6回だった。無死一塁で、オリックス・ヘルマンの打球は左翼フェンス近くまで飛んだ。難なく捕球したが、内野への返球が、やや遅れた。その間、一塁走者のペーニャがタッチアップ。決して速くはない走者に、思わぬ形で二塁進塁を許した。すると、塩見が続くT-岡田に適時二塁打を打たれ決勝点を失った。礒部外野守備走塁コーチは「まだ捕るのに、いっぱいになっている。使っている以上、しっかり練習させます」と話した。

 松井稼を責めるのは酷というもの。5月、若手遊撃手の西田が伸びてきたこともあって三塁に転向した。さらに、シーズン終盤に入っての外野転向となった。本格的な練習は1週間ほどしかしていない。来季以降を見据え、実戦で可能性を探っている段階だ。一時代を築いた名遊撃手。プライドや、意地や、こだわりがあってもおかしくない。ただ、本人は静かに言う。「この年で新しいことに挑戦できる。違う自分を出せるかもしれない」。

 敗れはしたが、先制点は鮮やかだった。4回先頭で右翼線二塁打。球界屈指の好投手・金子の高めに入ったカットボールを引っ張った。犠打で三塁に進み、岡島の二ゴロに好スタートを切った。「あのままだったらアウトになると思ったので」と、ブロックする伊藤に対し、回り込みながら左手で本塁に触れた。前進守備だった平野恵の本塁返球の上をいった。

 試合後の選手通路では、礒部コーチとすぐに確認し合う姿があった。38歳の挑戦は続く。【古川真弥】