<首都大学野球:日体大2-0筑波大>◇第1週初日◇10日◇平塚

 今春勝ち点5で完全優勝を遂げた日体大が、筑波大との開幕戦を延長10回で制した。春10勝のリーグ記録を持つドラフト候補、辻孟彦投手(4年=京都外大西)が5安打完封で通算20勝目。7月に亡くなった2年生部員の佐藤涼平さん(享年20)へささげる1勝となった。

 試合中、辻は何度も心の中でつぶやいた。「涼平、頑張ってるぞ」。仲の良かった2つ下の後輩、佐藤さんが7月、亡くなった。あれから初めての公式戦。「涼平のために勝ちたい、と思ったら気持ちも入りました」。強い思いは、10回完封劇となって表れた。

 前日、辻は佐藤さんの遺体が発見された寮近くの現場に花を供えた。投球の不調時はアドバイスをもらうなど「春勝てたのは涼平のおかげでもあるんです」と思いをはせた。試合中、ベンチに置かれた佐藤さんのプレー写真を見つめた。

 連覇がかかる今季。重要な意味を持つ初戦は、辻にとっても通算20勝の節目だった。スライダーをコースに投げ分け「完封で、と意識してました」と宣言通りの力投だ。「プロ1本」に進路を絞り、空から見守ってくれる後輩へまだまだ躍進を見せる。【鎌田良美】