<明治神宮大会:法大3-2富士大>◇13日◇大学の部準決勝◇神宮

 ノーヒッター右腕が、最後の最後で屈した。準々決勝の国際武道大(関東5連盟)戦で史上4人目の無安打無得点を達成した富士大・多和田真三郎(1年=沖縄・中部商)が、6回から登板。1死満塁から始まるタイブレーク方式の延長10回、2安打を浴びて2失点し「9回で負けるよりも悔しい」と唇をかんだ。

 偉業達成から中1日でのマウンド。青木久典監督(39)は「あくまで日本一を目指してた」と、決勝の先発を見据えてリリーフ起用に踏み切った。多和田も期待に応える。最速145キロをマークした直球を軸に、9回までの4イニングを5三振で抑え込んだ。

 「リーグ戦でもタイブレークはあった。特に意識はなかった」と殊勝だったが、走者を背負ったのは10回のみ。7回2死から今大会初安打を浴びたが、打者が走塁死に終わっていた。もともとセットポジションで投げているが、大舞台の正念場で見えない重圧がかかっていたのかもしれない。

 09年の大学選手権決勝に続いてまた法大に屈した。しかし、下級生中心で強豪と互角以上に戦えた経験は大きい。「またここに来られるように頑張りたい」。胸に秘めた悔しさが、来季への糧となる。