10月27日のプロ野球ドラフト会議で、ヤクルトから3位指名された日本製紙石巻の比屋根渉外野手(24=城西大)と同4位の太田裕哉投手(23=一関学院高)が4日、宮城・石巻市内で指名あいさつを受けた。太田は小学生の時、担当の八重樫幸雄スカウト(60)から野球教室で指導を受けていたことを明かし「東北魂を見せたい」と意気込みを語った。

 東北の底力を、プロの舞台でも見せつける。太田は「石巻を離れるのは申し訳ない」と、約2年過ごした地への愛着と感謝を口にした。宮城・多賀城市出身。「東北魂を見せられるようにやっていきたい。開幕1軍を目指す」と誓った。

 ヤクルトとは、不思議な縁でつながっていた。小6の時、ヤクルトの野球教室に参加。そこで、当時1軍打撃コーチだった八重樫スカウトと居合わせていた。「ドラフトの後に思い出して。ビックリですね」。一緒に撮った記念の写真は大事に取ってある。

 一関学院時代は、06年センバツに出場。仙台商OBの八重樫スカウトは「スカウトになる前だったけど、東北のチームはやっぱり見ますから。縦のカーブが印象的だった」と心に留めていた。太田は昨年、休部となった日産自動車から移籍。左肩の故障で投げられる状態ではなかったが、母留美子さん(52)の故郷を本拠地とする日本製紙石巻に手を差し伸べられた。「何かの縁ですかね」。ケガが癒えて本来の力を発揮すると、導かれるように指名を受けた。

 同社の先輩で、今季ヤクルトに加入した久古は、リリーフとして大活躍。太田は「自分もいけるんじゃないかという気持ちはある。気持ちを込めて投げます」と手薄な左の中継ぎとして、フル回転する覚悟を示した。【今井恵太】