仲間の無念を世界一で晴らす。腰の張りのため、登板機会なく侍ジャパンを離脱した栗林良吏投手(26)の胸中を14日、監督、チームメートがおもんぱかった。栗山監督は会見で「本人も悔しかったと思うし、苦しかったと思いますけど、彼の野球人生のために決断しなければいけないと僕は思ったので。その思いを持って、鈴木誠也選手もそうですけど、一緒に戦っていきます」と背負った。

栗林をリスペクトしていた大勢は、守護神候補に浮上した。オーストラリア戦後のグラウンドでお別れの記念撮影をした際には「セ・リーグで一緒なんで、また会おうね、頑張ろう」と声をかけられた。相談しても親身になって答えてくれた先輩に「しっかり世界一になって恩返しして、シーズンでも成長した姿で、栗林さんに会えたらいいなと思ってます」と感謝した。「8回の男」としても期待される湯浅は「栗林さんの分まで力を合わせて頑張りたい。世界一になって一緒に喜んでもらえるように頑張ります」と力を込めた。

SNSでも、チームメートから栗林への応援メッセージが相次いだ。ダルビッシュは2ショット写真とともに「またいつか一緒に」とインスタグラムに投稿。同学年の岡本が「良吏の分まで!」と言えば、吉田も「彼の分までしっかり戦います」。山本は「栗林さんの分まで頑張ります。ベルト忘れてますよ」と「20 栗林良吏」と書かれたジャパンのベルトを投稿した。合言葉は「栗林の分も」。それぞれが思いを背負って、夢舞台をかみしめる。【小早川宗一郎】

○…近藤が、つなぎ役継続を誓った。1次ラウンド4試合は2番としてチームトップの7安打&トップタイの5四球を重ね、打率4割6分7厘を記録。「(欠場の鈴木)誠也の分もってことでスタメンに使ってもらっている。1、2番がしっかり塁に出て(3番の大谷)翔平以降で点が入るように。打線が線になるよう、円滑に進むよう心がけてます」と頼もしかった。

○…10日の韓国戦で右手の小指を骨折した源田が打撃練習も行っていた。グラウンドではキャッチボールやノックにとどめたが「バッティングもやってます。(痛みは)大丈夫です」と、ベンチ裏でバットを握った。チーム同行を続けた判断を聞かれ「僕だけではないんで。侍のスタッフとも、(西武)球団とも話しました。チーム一丸となって勝つために頑張ります」と強い決意をにじませた。

○…栗山監督が準々決勝で対戦するイタリアを警戒した。東京ドームでのチーム練習を終えると「本当にバランスがいいチーム。いろんな幅がある。足も使えるし、小技もできる。もう1回、徹底的に分析します」と気を引き締めた。負けたら終わりの戦いが始まることには「今までとは全く別物。選手も分かってくれている。全力でいきます」と決意を口にした。

○…岡本がニューヘアで勝利を追い求める。前日13日は休養日で髪をさっぱりカット。「切っとかないと(日本に)帰ってから開幕になっちゃうんで、切れる時に切ろうと」と逆算した。全体練習ではフリー打撃で快音を響かせ、16日の準々決勝へ視界良好。「何がなんでもというか、しっかりそこを勝ち切れるようにやっていきたい」と力を込めた。

○…中野が「代役遊撃」を守り抜く。ここまで全4試合に出場。10打数3安打、4四球で出塁率は5割を記録するなど奮闘している。「全部自分が出るっていうぐらいの気持ちでずっとやってた」。強い覚悟で右手小指を骨折しながらもチームに帯同する源田の分までプレーしてきた。1番ヌートバーが好調なだけに「自分が塁に出れば得点も多くなる」。粘り強い打撃で“恐怖の8番”になる。

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