“世界の朗希”となる。侍ジャパンは、WBC準決勝メキシコ戦を行うローンデポパークで前日練習を行った。練習後の公式会見で、栗山英樹監督(61)は佐々木朗希投手(21)の先発を予告。11日の1次ラウンド、チェコ戦で164キロ世界大会デビューした令和の怪物が、決勝進出をかけて、いよいよ野球の母国のマウンドに立つ。

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佐々木の表情は引き締まっていた。練習後の公式会見。真っすぐ質問者を見つめ返し、はっきりと言葉を重ねていった。「ここまでチームが一生懸命、戦ってきてアメリカまで来られたので、その勢いであったり、そういうのを背負いながら、明日いい形で投げられればと思ってます」。決勝がかかる大一番。抑えきれない高揚感が早くもにじみ出た。いい顔だった。

第1回から連覇した日本だが、ここ2大会は、いずれも準決勝で敗退。鬼門の一戦を佐々木に託したわけを、栗山監督は単純明快に説明した。「日本が誇る何人かの1人のピッチャー。こういうピッチングをして欲しいということではなくて、彼の持っているものをそのまま出してもらって、世界中の野球ファンに楽しんでもらいたい。それだけです」。力を信じるからこそ。16日の準々決勝の日に吉井投手コーチから伝達した。大役を受けたときの心境を、佐々木は「大事な試合。すごく身が引き締まる思い。今日勝たないと明日がない」と振り返った。勝つことしか、頭にない。

球場入りすると、マウンドの感触を確かめた。さらに左翼後方のブルペンで9球を投げた。前日に32球を投げており、2日連続のブルペン入り。「投げたことのない球場。ブルペンでも、少しでも本番に近い感触を確かめられたら」と妥協しなかった。

チェコ戦では最速164キロを出し、3回2/3、2安打1失点と上々の世界大会デビューを果たした。昨季の活躍もあり、その名は既にメジャー関係者にも知られている。会見で米国の記者から、近い将来、メジャー移籍の考えがないか問われ「時期よりも、まずは日本でしっかりプレーすること。その先に見えてくると思う」と答えた。いつも自分のベストを尽くす。準決勝のマウンドでも、それは変わらない。【古川真弥】

◆日本の最年少先発 準決勝は21歳4カ月の佐々木朗希が先発予定。プロが参加した主要国際大会(五輪、WBC、プレミア12)の準決勝以降では、15年プレミア12準決勝(対韓国)の大谷翔平(当時日本ハム=21歳4カ月)に並び日本の最年少先発となる。

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