WBA世界ミニマム級2位石井武志(23=大橋)が国内男子世界戦最速の65秒KO勝ちで世界王座獲得に成功した。プロ13戦目の世界初挑戦で同級3位ウィルフレド・メンデス(29=プエルトリコ)との同級王座決定戦に臨み、1回1分5秒、KO勝ち。左ボディーからの右強打で仕留めた。井上尚弥の保持する国内男子の世界戦最速記録(1回1分10秒)を更新する圧勝劇だった。これで大橋ジム6人目の世界王者となった。

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「最速」の圧勝劇だった。ゴングと同時に接近戦を仕掛けた石井は猛攻。ロープ際に追い込み、左ボディーをねじ込み、右強打でダウンを奪った。井上尚弥が保持した国内男子の世界戦最速を更新する戦慄(せんりつ)の65秒殺だった。

「カウンターのボディーが入ったので立てなかったと思う。人生で1番うれしい」

フィジカルは「ミニマム級で世界一」と自称する石井だけが可能な戦術だった。八重樫東トレーナーとの作戦は「12回のフルマラソンをやる。1回から強い自分が出た」と充実の表情。所属ジムの大橋秀行会長、八重樫トレーナーが巻いたWBAミニマム級ベルトを手にし、歓喜の雄たけびをあげた。

小学1年から9年間、野球部に所属。投手、遊撃手を務めたが「体格差がきつくて」。K-1魔裟斗にあこがれ、中学2年から野球と並行して空手も開始。高校卒業後にキックボクサーとなったものの、ベスト体重は53キロ前後。K-1に適正階級がなく、またもサイズの壁にぶち当たった。高校卒業後、両親との約束で専門学校に通い、柔道整復師の資格を取得。横浜に出ることを許され、21年春、キックの「兄貴分」武居由樹の背中を追って大橋ジムに入門した。

「小さい時から身長も常に1番前。何の才能もなかったが、周りに支えられ努力すれば夢がかなうことを証明できた」と笑顔。アマエリートが多いプロの現状で「たたき上げ」が世界王者になった価値も大きい。「まだ強い選手がいるので挑戦する」。大橋会長の願いだった所属ジム6人目の世界王者となった石井が最強ロードにチャレンジする【藤中栄二】

◆国内の世界戦最速KO 男子は石井武志が2日のウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)戦でマークした65秒。2位は18年10月、井上尚弥がフアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)戦で記録した70秒、3位は平仲明信が92年4月、エドウィン・ロサリオ(プエルトリコ)戦の92秒。女子は昼田瑞希が23年6月、ケーシー・モートン(米国)戦でマークした63秒。

◆大橋ジム輩出の男子世界王者 川嶋勝重(WBC世界スーパーフライ級王者)、八重樫東(世界3階級制覇王者)、井上尚弥(世界4階級制覇王者)、井上拓真(WBA世界バンタム級王者)、武居由樹(WBO世界バンタム級王者)、石井武志(WBA世界ミニマム級王者)

★石井武志(いしい・たけし)

◆生まれ、サイズ 1999年(平11)10月26日、福岡・うきは市生まれ。身長156センチの右ボクサーファイター。

◆スポーツ歴 小学1年から中学3年まで野球部。キックボクシングにあこがれ、中学2年から空手も開始しキックのアマ大会出場。高校卒業後にキックボクサーに。

◆キック王座 所属道場運営の大和KICK大会で52・5キロ級王座獲得。K-1に適正階級がないため、元K-1王者武居由樹の背中を追い、21年ボクシング転向。

◆たたき上げ 22年5月、2回TKO勝ちでプロデビュー。同年に全日本ミニマム級新人王、24年9月に東洋太平洋同級王座獲得。

◆海外修行 24年8月に2週間、オーストラリアに修行。五輪代表アレックス・ウィンウッドらの練習パートナーを経験。

◆家族 両親と姉兄。