プロレスリングノアの年間最大のビッグマッチが11月2日、両国国技館で開催される。メインのGHCヘビー級選手権で王者清宮海斗(23)に挑戦するのは元タッグパートナーの拳王(34)。反体制ユニット「金剛」を率いて、ノアの改革を目指す拳王に今回のタイトル戦への思いや今後の野望を聞いた。【取材・構成=高場泉穂】

11・2ノア両国大会でGHCヘビー級王座に挑戦する拳王
11・2ノア両国大会でGHCヘビー級王座に挑戦する拳王

両国国技館を超満員にし、そこを「金剛」(ダイヤモンド)の輝きにする-。拳王の1つの夢がそこまで近づいている。今年5月に清宮とのタッグを解消し、マサ北宮、稲村愛輝らと反体制ユニット「金剛」を結成。リーダーとしてノアを活性化させるとともに、親会社「リデットエンターテインメント」と清宮の批判を繰り返してきた。すべてはノアを業界NO・1に引き上げるためだ。

「ずっとリング上で言っているんですけど(選手らが)会社に洗脳されているような感じになっている。ぼくが目指しているのは業界の2位ではない。一番人気のある団体のまねをしていてもだめ。もっとオリジナリティーを出して、自分たちはやっていきたい」。

若き王者清宮と決別したのも「会社のいいなり」で自分の意思を感じられなかったから。だが、ここに来て変化を感じつつあるという。「あいつはプロレスの教科書通りにやっていくだけのおもしろくない、響かないプロレスラー。でもようやく、言い続けたかいがあって、少し本音がでてきているかな。まぁ、それでも響かないけど」。両国のタイトル戦に求めるのはすべてをぶつけ合う戦い。「むこうが本気できたら、こっちもさらに熱い気持ちでぶつかっていける」と本音を引き出す挑発を仕掛けていくつもりだ。

敵は清宮だけではない。拳王はノアを長らく引っ張ってきた丸藤正道、杉浦貴打倒も目標に掲げる。「ノア=丸藤、杉浦の時代がいまも続いていると僕は思う。両国のカードを見ても悔しかった」。両国で丸藤はレジェンド、グレート・ムタと対戦。杉浦は新ベルト「ナショナル王座」をかけ、マイケル・エルガンと戦う。「どうにかして超えていきたい」と彼らの豪華カードに負けない戦いをすることを自身に課す。

8月4日、ノア旗揚げ19周年記念大会で岡田(下)を攻める拳王
8月4日、ノア旗揚げ19周年記念大会で岡田(下)を攻める拳王

17年にGHCヘビー級王座を初戴冠。ノアの新時代を目指したが、杉浦に奪われ約4カ月で陥落。革命は志半ばで終わった。「おれがもう1回(王者に)なって、もう1度丸藤、杉浦を倒して超えたというのを世間に知らしめたい」。さらにその先に見つめるのは、20年の日本武道館進出。会社からの圧力をも力に変えて、ノアの新たな時代を切り開く。

◆拳王(けんおう)1985年(昭60)1月1日、徳島市生まれ。幼少期から続ける日本拳法で03年に全日本選手権で優勝するなど結果を残した後、08年みちのくプロレスでデビュー。15年にノア入団。16年末にジュニアからヘビー級に転向。17年12月にGHCヘビー級王座初戴冠。174センチ、95キロ。得意技ダイビング・フットスタンプ。