テレビのバラエティー番組とかで、プロスポーツ選手がニコニコしているのを良く見る。MCやお笑い芸人のツッコミにはにかんでみたり、天然風にボケたり、びっくりするほど上手な返しをしてみたり。そんな様を見て、世間の人は「めっちゃ感じええがな」と思う。ええことです。プロたるもの、自分を発信するのはとても大事なことです。映像は基本、ありのままを伝える。それが持ち味のメディアですから。

 ただですね、テレビに映る姿が、映ってへん時の姿とほぼ同じ人もいれば、映ってへん時は仏頂面で「おいおい、ええ加減にせえよ」とこぼしたくなる人もたま~にいます。まあ、そこはその人の本音、魅力を引き出せない、こちらの力不足でもあるんですが。

 WBC世界ライトフライ級王者・拳四朗(25=BMB)のことを書きましょう。彼はバラエティー番組とかにすごく出たがってます。先日、京都府庁で京都府スポーツ特別奨励賞を受けた時なんか、マツコ・デラックスのフジ系「アウト×デラックス」出演が決まって「めちゃめちゃテンション上がりますわ~」と喜んでました。

 ついでに聞きました。「他にテレビ出演の話はあるの?」

 「こないだ『せやねん!』に出るチャンスあったんですよ。僕が、食べ歩くんが好きってことで、お薦めの店を紹介する形で。ところが、お薦めの店の紹介だけに終わってしまったんです。僕は出れずですわ」

 ちなみに「せやねん!」は大阪・毎日放送の情報番組です。関西ローカルやけど、漫才コンビのトミーズ、吉本新喜劇の未知やすえらが出てる、おもろい番組です。

 さて、何が言いたいかと言うと、拳四朗の笑ってまうほどの裏表のなさです。

 「僕、ボクサーに見られないじゃないですか? だから、いろんな所に出て行って、いろんな人に見てもらいたいんです。(取材する人には)どんどんいじっていただければ、と思う。まあ、ほめられて伸びるタイプなんですけど。ははは…」

 こんな風に言われたら「絶対にこの子を応援したる!」と思いますわな。確かに彼みたいなタイプは、かなりレアです。こんなありがたい取材対象者はちょっとおりません。ただ、彼ほどとは言わんまでもね。取材する側とされる側に垣根はあります。でも、基本は人と人。もうちょっとだけ取材に協力してくれたら…。

 まあ、力のない記者の愚痴なんですけどね。【加藤裕一】