僕は拳でみせます! ボクシングのIBF世界ライトフライ級王者八重樫東(33=大橋)が17日、挑戦者に同ミニマム級8位サマートレック・ゴーキャットジム(32=タイ)を迎える2度目の防衛戦(30日、有明コロシアム)を控えて横浜市内のジムで練習を公開。併せて、芸能事務所プラチナムプロダクションとの専属マネジメント契約を発表した。タレント中村アン、菜々緒らがそろう美女軍団入りに、ボクシング界への貢献を誓った。

 「嫁に怒られるんで、やめてください」。照れくさそうに、写真撮影に臨む八重樫がいた。両隣には、試合当日にラウンドガールも務めるプラチナムプロダクション所属の美女2人。肩に手を掛けられ、両手に花にも「すごい恥ずかしいです、これ…」と戸惑い続けていた。その何とも親しみやすい姿こそ、異色の契約に至った理由だった。

 同事務所は「家族愛にあふれたすてきなお父さん」を魅力の1つに挙げる。老若男女に愛される人なつっこい王者だからこそ、白羽の矢が立った。菜々緒、木下優樹菜ら売れっ子タレントがそろうが、マネジメントの幅を広げる筆頭として、初の現役プロボクサーとの契約の運びとなった。

 当人は「なんで自分という疑問はあるんですが…」と首をひねりながらも、使命感は静かに燃える。「ボクシング界にもいろんな人が目を向けてくれる活動ができればいい。知らない人が見てみようかなと思うきっかけになれれば」と視線を上げた。「テレビはいいです…。ほどよい感じで」と続けたのが、控えめな八重樫らしかったが…。

 美女軍団がその美貌で見せるなら、リング上での拳が見せどころになる。相手がファイターのサマートレックだけに、大橋会長は「激しい打ち合いになる」と予想。7つの世界戦が行われる年末興行に、本人は「八重樫の試合も面白かったと言われる、すてきな試合を」と誓った。

 この日はWBO世界ライトフライ級3位原と2回のスパーリングを敢行。終盤に激しい打ち合いを演じたが、「あれは私ではありません。声出して打ってくるとは。受け止めて、はね返してやりました」とニヤリ。後輩の気合を意気に感じて応戦する優しさ、たくましさも魅力の一端を担っているだろう。2度目の防衛戦はアマ時代の70戦を含め、通算100試合目。「数字は気にならないですけど、長くやってきたんだなあ」と、百戦錬磨の激闘王はうなずいた。【阿部健吾】

 ◆大手芸能事務所に所属するアスリート 八重樫と同門で年末興行のメインを務める井上尚弥は、ホリプロと契約する。吉本興業はMLBの青木宣親、田沢純一、サッカーの太田宏介、駒野友一など、レプロエンタテインメントは格闘家のRENAなど、オスカープロモーションはフィギュアスケートの本田真凜と契約している。