17年度プロレス大賞授賞式(東京スポーツ新聞社制定)が18日に都内のホテルで行われ、史上5人目の2年連続MVPに輝いた内藤哲也(35=新日本)が大いなる野望をぶち上げた。中3で夢描いた東京ドームのメインに上がるという目標を4日の大会で果たし、次の夢を「6大ドームツアーですね」と明かした。新日本が海外戦略を強める中で、あえて国内での史上最大の構想を掲げた。

 15歳の夢がかなってから2週間。35歳の内藤には次なるビジョンが明確に見えていた。壇上でトロフィーを踏みつけて取った指で目を見開くお決まりのポーズ。視線の照準はドームだ。

 「ドームツアーをやりたいっすね。日本には6個のドームがあるので、2カ月に1回やれば1年間で全部回れるわけですから」

 札幌、西武、東京、名古屋、大阪、福岡。4日のプロレス界最大のイベント東京ドーム大会は、昨年比約8000人増の3万4955人を集めた。復活著しい団体をけん引するのは自分がリーダーを務めるユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」という自負。過去最高収益39億円を上げた97年でさえ、「4」大ドームツアーだった。途方もない構想に聞こえるが、17年は1度もIWGPタイトルに絡まなくてもMVPの事実に「まさにベルトを超えた存在の証明」と息巻き、「そこまで引き上げていきますよ」とニヤリとした。

 4日の興行で1つの章は終わった。中3で立てた3つの目標。新日本に入る、20代でIWGPヘビー級ベルトを巻く目標を果たし、最後が東京ドームのメインだった。ヘビー級王者オカダに敗れたが、人気は陰らない。

 新日本はいま、海外志向を強める。「悪いことだと思わないですよ。ただ、みんなが『海外、海外』と言うのであれば、俺は国内を独占しようかなと」。団体が急(せ)くように海の向こうを目指すのに、まさに決めぜりふ「トランキーロ、あっせんなよ!」と言わんばかり。3年連続MVPとなれば、猪木、天龍に並ぶ。「このままいったら僕が来年もMVPとして出席していることは間違いないでしょう」と豪語する男の頭脳は、制御不能に夢をふくらませていく。【阿部健吾】