「みんなのこけし」が帰ってくる。中心性頸髄(けいずい)損傷の重傷からの復帰を目指していたプロレスラー本間朋晃(41)が3日、新日本プロレス後楽園大会のリングに登場し、6月23日に地元の山形大会で復帰すると宣言した。

 4試合目が終わった時だった。会場に流れたのは本間のテーマ曲。どよめくファンの声を受けてリングインすると、万雷の拍手が降り注いだ。四方にお辞儀をしてあいさつしようとしたが、「みなさ…」と言ったところでマイクが入っていないことに気付いて苦笑。「え~、みなさまに、お伝えしたいことがあります」とあらためてトレードマークのしゃがれ声が響くと、暖かい笑いも起きた。

 「6月23日、山形で復帰します! 以上!」。簡潔な物言いに、大歓声が起きると、このほど昨年8月に一般女性の千恵さんと結婚したことも明かしたことから、「おめでとう!」の祝福も飛んだ。

 昨年3月3日に悲劇は起きた。沖縄での試合で邪道のグリーンキラー(ハングマンDDT)を受け、首から下に「100倍くらいの電流」が流れ、体が1ミリも動かなくなった。激痛にも遠のく意識。「さんずの川と言いますが、本当にそんな感じで。夕暮れ時の川に赤い橋が架かっていて、向こう岸から呼ばれる感じ」と生々しく振り返る。吸い込まれそうなところで「本間!」の声で覚醒したが、事態の深刻さを分からないまま、緊急搬送された。

 県内の救急病院に運び込まれ診断を受けた。痛めた頸椎(けいつい)の3、4番は呼吸、心臓に影響があり、目が開かなければ急死の危機もあった。同27日に大阪市内の病院で手術。ただ、「手術で改善すると思ったら、手足が思うように動かないのは変わらず」。不安は深刻になったが、レスラー仲間がリング上で得意技「こけし(ダイビングヘッドバット)」を繰り出す激励をテレビ越しに見ると、心を折るわけにはいかなかった。リハビリは3時間、ジムワークは1時間。初めてストレッチを導入し、体幹を鍛え、何より首を鍛えた。再びこけしをリングでみせるためだった。ファンに心配させない体作りを地道に続けた。

 負傷から477日をへての復帰戦となる。「真壁さんとタッグを組みたい。誰とでもやりたい」と真壁刀義との名タッグ復活を望んだ。昨夏には人生のタッグパートナーもでき、「背負うものができた。しっかり活躍したい」と固く誓う。リングでのホンマコールには顔をくしゃくしゃにした。「最高でした。すごくうれしい。本当にうれしい」と力を得た。感謝の気持ちを胸に「みんな」の元へ帰還する。