ボクシングWBA世界バンタム級王者井上尚弥(25=大橋)が階級最強を決めるトーナメント開幕戦で2つの日本新を狙う。ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)1回戦で元WBAスーパー王者の同級4位フアンカルロス・パヤノ(34=ドミニカ共和国)と防衛戦に臨む。28日に横浜市の所属ジムで練習を公開。現在1位で並ぶ世界戦の連続KO数(6試合)と通算KO数(10試合)の新記録更新を狙う意気込みを示した。

8日後に前日計量を控えながらも、井上は練習の合間にしっかり飲料水を口にした。リミット(53・5キロ)まで残り1・5キロと減量も進み「体調はメッチャいい。飲みながら食べながらできている」とスパーリングでも力強く両拳を打ち込んだ。大橋会長から「絶好調。素晴らしい試合になる」と太鼓判を押されたパヤノ戦で、2つの日本新を狙う準備を整えてきた。

現在、世界戦連続KO記録は元WBA世界ライトフライ級王者具志堅用高氏と並び6試合で1位。さらに世界戦通算KO記録も元WBA世界スーパーフェザー級王者内山高志氏と並ぶ1位の10試合まで積み重ねた。パヤノ戦でKO勝利すれば、いずれも単独1位の日本新記録。大橋会長からWBSS決勝まで3試合連続のKO指令を受けている井上は「KOは毎回頭に入れて試合している。毎回変わらず」と静かに燃えた。

6月にスタートしたスパーリングは計120回を超えた。通常よりも多いラウンド数に「始めたのが早かったから。どれだけの自信を持って試合に挑めるか。限界は少しずつ破っていかないといけない。今回は結構、追い込んだので」と自信の笑み。14年12月のナルバエス戦以来、約4年ぶりとなるサウスポーとの対戦に備え、スパーリングではアッパーも多くみせ「毎回、同じではダメだから」と不敵に笑った。世界最強を証明できるWBSS優勝へ-。まずは1回戦で2つの日本新を成し遂げ、大きな弾みをつける。【藤中栄二】