ボクシングIBF世界フライ級王者モルティ・ムザラネ(36=南アフリカ)が9日、都内のジムで練習を公開した。13日に東京・後楽園ホールでのV2戦で、同級4位黒田雅之(32=川崎新田)の挑戦を受ける。

15分間の縄跳びに始まり、サッドバッグとミット打ちと内容は軽めも、たっぷり1時間汗を流した。09年から14連勝中というベテラン。「ボクシングにすべてかけている。今がベストの体。プロの役目だ」と、練習で裏打ちされた実力維持の一端を見せた。

本来は右も左構えが多かった。3年前から指導するコリン・トレーナーは、昨年に2団体王者田口良一(ワタナベ)を破ったヘッキー・ブドラー(南アフリカ)も指導している。当時の公開練習でも同じ手法で手の内は見せなかった。

サウスポーかと問われると、コリン・トレーナーは「知らなかったのか?」。田口戦も同じだったの問いには「忘れた」とおとぼけ。偵察した黒田陣営の孫トレーナーが「黒田は左には5連勝中」と突っ込むと、練習中にメモする姿を挙げて「黒田が負けると書いたのか」と応酬した。

「ユーチューブを見てくれ」と、自身についても、黒田についても、具体的な言葉は一切なかった。ムザラネは「完璧に仕上がった。試合が楽しみ。海外は慣れているし、ベルトは持って帰る」。前回は坂本真宏(六島)を7回TKO。再び日本人キラー発揮へ自信を示した。

黒田陣営の新田会長は徹底した手の内隠しに苦笑い。「参考にならないが、コンディションはすごく良さそう。身のこなしもいいし、スタミナもありそう。ともにベストは臨むところ」と受けて立つ。勝負のカギに「接近戦に持ち込ませず、自分の距離を保てるか」と話した。