ボクシング5階級制覇のWBA世界バンタム級スーパー王者ノニト・ドネア(36=フィリピン)が、サムライ精神で決戦に臨む。

ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)バンタム級決勝の会見が26日に都内であり、ドネアも米ラスベガスの自宅から早朝に来日して出席した。会見前にWBA、IBF世界同級王者井上尚弥(26=大橋)へまず握手を求め、友好的に決戦の口火が切られた。

何度も来日して多くの選手を指導し、各ジムで練習するなどしてきた。大の親日家として知られるが、日本での試合は初めて。「日本のサムライ精神、武士道にすごく影響されている。そういった文化を自分の中に培ってくれた日本で、井上と対戦できることをうれしい。私が持つすべてをさらけ出す」と意欲を示した。

子供のころから日本の漫画やアニメに夢中になり、映画「七人の侍」や「宮本武蔵」も見て育った。主役だった三船敏郎の名を上げて「サムライから忠誠心や尊厳を学んだ」という。試合展開を問われても「2人のサムライの斬り合い」と表現した。

フライ級からフェザー級まで制覇したが、WBSS参戦のために7年ぶりでバンタム級に戻り、1回戦、準決勝とも連続KO勝ちしてきた。「バンタム級が最強だと思って戻ってきた」。5年前には井上に指南したが「この階級最強の恐るべき相手に成長したモンスター」と絶賛した。

試合のカギには「お互いスピードもパワーもあり、先にミスした方が負ける」と予測した。一方で「お互い頭脳派でもある。チェスのように長い試合になるかもしれない」とも話した。

下馬評では不利と見られている。10歳年上の36歳に「年齢から力を疑いの声もあるが、それが間違いであるということを見せたい。自分の限界を超えるトレーニングで追い込みたい。力強いサポートもある」。同行してきたマネジャーでもあるレイチェル夫人の手を握りながら話した。

大橋会長は「生きた伝説の2人の対決」と表した一大決戦。ドネアは「自分のためでなく、日本のため、世界のボクシングファンのために、すべてを出して戦う」と約束した。