獣神サンダー・ライガーが31年前に誕生した地、東京ドームで最後の試合に臨んだ。同日デビューした永遠のライバル佐野直喜(54)と組み、前日4日にIWGPジュニア王者に返り咲いた高橋ヒロム(30)、リュウ・リー組と対戦。セコンドにはライガーの師匠である「関節技の鬼」こと藤原喜明(70)がついた。

試合はライガーが高橋に3カウントを奪われて、決着した。ライガーは試合後にマイクを持って言った。

「平成元年、この東京ドームでプロレスラー獣神サンダー・ライガーは生まれました。そして今日、この東京ドームでプロレスラー獣神サンダー・ライガーは終わりました。31年間、応援していただきまして、ありがとうございましたー」

絶叫した後、リングで深く一礼をして引き揚げた。

敗れはしたが、持ち味を存分に発揮した。開始のゴングからリングに出て、高橋とがっちり組み合った。2分過ぎには弓矢固め、ロメロスペシャルと得意技を繰り出して、高橋の背中を攻め立てた。5分すぎには襲いかかってきた高橋、リーに対して、立て続けに風車式バックブリーカーで蹴散らした。9分過ぎにはパワーボム→掌底→垂直落下式ブレーンバスターのフルコースを高橋にお見舞い。3カウント寸前までいったが、リーにカットされてチャンスはついえた。最後は高橋の大技の前に沈んだ。

ライガーが誕生したのは89年4月24日、新日本の初めての東京ドーム大会「格闘衛星・闘強導夢」。永井豪原作のアニメから出てきた「獣神ライガー」としてリングに立った。“虎ハンター”こと小林邦昭から何度もマスクをはがされそうになるも、阻止して9分55秒、ライガー・スープレックスホールドで勝利。「マニアは正体を知っているけど、子どもは純粋にライガーを応援しているんだ。子どものためにマスクはずーっとつけてやる」と約束した。それから31年半。ライガーとして生き、新日本ジュニアの象徴、そして世界のレジェンドとして惜しまれながらリングを去る。

引退後も、世田谷区野毛にある寮に管理人として住み続け、今度は「ヤングライオン」と呼ばれる若手選手らのサポート役に回る予定だ。「今まで僕がみこしで、みんなにかついでもらっていた。今度は逆でいいんじゃないか」。料理や、掃除など若手が担っていた雑用をこなし、選手に練習、試合に集中してもらいたいと話す。「ぼくはもうプロレス大好きですし、新日本に拾ってもらってますから」。変わらずプロレスとともに生きていく。