新潟市を拠点に活動している「新潟プロレス」が窮地に立たされている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2月16日を最後に主催興行をしていない。団体最大のイベント「アオーレ長岡大会」(5月31日)も中止を決定した。興行収入は3カ月以上なくなる状態だ。今後はYouTubeによる動画配信を計画するなど、興行再開までのつなぎと土台作りを粘り強く進める。

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「今は耐えるしかないです」。新潟プロレスの代表で、トップレスラーのシマ重野(46)は言う。東京都など7都府県に緊急事態宣言が出された後の8日に「アオーレ長岡大会」の中止を決定した。16日に全国が対象地域になると、新潟市内の専用道場は休業に入った。今は所属レスラーが自主トレで1人ずつ使用する程度で、体力づくり目的の一般会員向けのジム活動は止めている。

「アオーレ長岡大会」は提携する大日本プロレスを交え、シングルとタッグの王座防衛戦を行うビッグイベントだった。マスク、消毒液をかき集め、検温用に非接触型の体温計も購入した。それでも「最終的にはお客さんの安全確保が第一」と社会の情勢を見て判断。3月29日の新潟市での主催興行もすでに流れている。他団体への参戦もなくなった。3月以降、収益は一部グッズ収入などのみ。1開催の収入は1カ月分の団体運営費に相当するだけに、傷は深い。

今後は7月19日に予定する新津・荻川大会を皮切りに月1回ペースの興行を計画している。当然、新型コロナウイルスの感染状況によって開催の可否は左右される。そのため、スポンサー営業はままならない。「苦しいのはうちだけではない。スポンサーさんも苦しい。この状況で積極的にお願いはできない」。重野は胸中をそう明かした。適合する補助金を調べるなど、資金繰りに頭を悩ませる。

その中でもぶれない軸はファンへのサービスだ。今後、団体の公式YouTubeで配信を行う予定。「少しでもファンの皆さんに楽しんでもらえれば」。人気レスラーのビッグ・THE・良寛が、マジックができるようになるまでの過程や、レスラー同士のトーク、過去の試合の動画などを盛り込む。「希望は捨てない。必ずプロレスを続けます」。折れないことがウイルスに負けないこと。懸命に生き残りを模索する。【斎藤慎一郎】