第3代RIZINバンタム級王者決定戦が行われ、朝倉海(26)が扇久保博正(33)を1回4分31秒TKOで下し、新王者となった。

狙い通りの勝利だった。「下を向く癖があるので狙っていた」と扇久保の顎に右アッパーをさく裂。ふらつく相手をコーナーに追い込み、左膝をたたき込んで、グラウンド勝負へ。マウントポジションを取り、パウンドを連打し、逃げる扇久保に強烈なサッカーボールキックを2発。レフェリーストップで勝負を決めた。「効いたら一気にたたみかけようと思っていたので、作戦通り」。打撃の強さをみせつけ、悲願のベルトをつかんだ。

昨年は8月のRIZIN18大会でRIZIN、ベラトール2団体のバンタム級王者堀口恭司に1回KO勝ち。大金星で、一気に名を高めた。その後、堀口が膝のけがのため11月にRIZINバンタム級のベルトを返上。大みそかにマネル・ケイプとそのベルトをかけて戦ったが2回TKOで敗退した。

「本当に悔しくて、必死に練習してきました」。年明けから新たにパーソナルトレーナーのもとでパワーを強化。兄未来との練習時間も増やし、一から技術を見直した。コロナ禍で試合ができない間にケイプがベルトを返上し、再び舞い込んだ2度目のチャンス。「負けたら終わり」と自分を追い込み、ものにした。

王者となっても慢心はない。「まだまだ力不足の部分がある。世界のトップ選手と戦えるようになりたい」と名実兼ねた格闘界の頂点を目指す。対戦したい相手として長期欠場中の堀口の名を挙げ、「お互い万全の状態になってから戦いたい。年末にできたら1番いい」と大みそかの大舞台での再戦を希望した。

昨年からは世界の舞台での戦いを見据え、英会話教室にも通い始めた。兄未来とそれぞれ取り組むYouTuberとしての活動も怠らない。「今日か明日、胸のところに穴の空いた服を着て、原宿を歩く動画が出るはずです」。新時代を象徴する格闘家、朝倉海の成功物語は、まだ始まったばかりだ。