来月から米WWEに挑戦する女子プロレスラーのSareee(24=WWE Count Down)が渡米前最後の試合に挑み、ファンに別れを告げた。BEYOND THE SEA TAGのベルトをかけ、2度目の防衛戦を行うも、パートナーの世志琥(27)が3カウントを奪われ、有終の美を飾ることはできなかった。リングサイドで終了のゴングを聞いたSareeeは顔を覆い、ぼうぜんとした表情を見せたが、その後立ち上がり「日本の女子プロレスを世界に見せつけたい。もっと大きくなって帰ってくるので、リングでまた会いましょう」と笑顔で活躍を誓った。

昨年2月に挑戦表明も、その後すぐに自粛期間となり、渡米は延期に。いろんな団体に参戦しながら調整を続けてきた。そんな中、世志琥とユニット「鬼に金棒」を結成し、7月にはタイトルを獲得。以前は仲の悪かった2人が最強のパートナーとなってリング上で躍動した。「大嫌い同士だったけど、一緒に組んで大好きになった。プロレスも普段の生活も楽しくて、もっとやりたかった。本来なら経験できなかった特別な時間だった」。試合では常に険しい表情の世志琥も珍しく号泣。「ベルトを奪えなかったけど、タッグ組んでくれてありがとう。今度シングルマッチやる時はもっと大きな会場で、最高のプロレスを見せよう」と感謝の言葉で送り出した。

初代タイガーマスクこと佐山サトルのチャリティー精神も米国で継承する。昨年11月には伝承特別マスクを贈呈され、今月19日には念願だったチャリティー活動を行った。20日には佐山から「プレッシャーに負けず、スーパースターになって欲しい」と直々にエールをもらった。

アントニオ猪木、ジャガー横田、アジャコングら多くの大先輩に背中を押してもらって実現した。来月上旬にも出発する。「どんなことがあってもやり遂げて、日本と世界の懸け橋になりたい」。夢舞台への挑戦がいよいよ始まる。【松熊洋介】