GHCヘビー級王者で58歳の武藤敬司が、清宮海斗(24)の挑戦を退け、初防衛に成功した。

武藤が限界を超えた。若き挑戦者の執拗(しつよう)な絞め技で体力を奪われた。清宮のジャーマンスープレックスホールドでカウント2。花道からダッシュでスピードに乗ったウルトラタイガードロップにも耐えた。激しい攻めをしのぐと、トップロープから雪崩式フランケンシュタイナーで形勢逆転。年齢からは考えられない大技に、会場はどよめいた。さらに、ドラゴンスクリューで弱らせ、シャイニングウィザードから腕ひしぎ逆十字固めで勝負を決めた。王者は清宮のスタイルが昔の米国のプロレスに似ているとし「やっていて楽しかったですよ。でも、(会場が)暑かった。有酸素プロレスやっちゃったよ」と独特の言い回しで、激闘を振り返った。

歩んできたプロレスの道で、歴史を刻んできた。主要団体(ノア、新日本、全日本)の3大メジャータイトルを獲得(史上3人目)。18年3月、変形性ヒザ関節症を発症。人工関節を埋め、第一戦に復帰した。この日は34歳下の挑戦者。武藤の息子と同じ年だ。王者は清宮を“仮想息子”とし「おやじが息子に負けたら威厳がなくなる。意地でも負けられない部分があるんですよ」と執念の勝利だった。

試合後にGHCタッグ選手権者のマサ北宮(32)が挑戦を表明した。防衛を終えたばかりの58歳は「休む暇を与えてもらえない。でも、片っ端から挑戦を受けてやりましょう」と力強く宣言した。【南谷竜則】