東京女子プロレスのプリンセス・オブ・プリンセス王者、山下実優(26)が、サイバーファイトフェスティバル(6日、さいたまスーパーアリーナ)で初防衛に挑む。3日、日刊スポーツの取材に応じ「東京女子にとっても、私にとても大きなきっかけになる大会」と決意を語った。

13年にDDTの両国国技館大会でデビューし、16年にプリンセス・オブ・プリンセス初代王者に輝いた。18年の2度目の戴冠後には10度の防衛に成功するなど、トップとして活躍し続けてきた。「DDTの歴史があったおかげでここまで来られた。いつまでもこのままではいけない」。いずれは単独での開催を目指している。そのためにも「世界に進出して行くためには、次につなげるものにしないといけない」と意気込む。

アイドル出身の選手が多い東京女子。山下もアイドルを目指して上京するつもりだった。AKB48を2度受験。地元福岡のHKTの選択肢もあったが「東京に出たかったので」とAKBに絞った。書類は受かったが、面接に行った際に「ちょっと場違いかも」と思った。同じ会場には元メンバーの小嶋真子(14期)がいた。「この子は絶対に受かるな」とオーラを感じたという。アイドルの夢はかなわなかったが、両立する後輩たちには「芯があってプロレスにもまじめに取り組んでいる」と応援する。

トップを走り続けてきた山下。「満足したら引退する」と話す一方で「(満足することは)なかなかない」と明かす。入門前は空手に打ち込んでいたが「空手では全国制覇や世界制覇するとその上はないが、プロレスは、ベルトを巻くたびに、周りの見る目も変わるので、何度チャンピオンになってもゴールではない」と語る。「満足したら、って言っていたらおばあちゃんまでやっているかも」と笑顔を見せた。

坂崎との1戦に思いをぶつける。「何度もやっている相手。どれだけ自分の試合が印象に残せるか」と語った。普段から対策など練らず「その方が面白い」とリングに上がってから本能のままに動いていく。

5月17日のさいたまスーパーアリーナでの調印式では涙を見せた。「ノア、DDTと3大タイトルマッチというのを聞いて、ここまで並べられるようになったんだなと」。東京女子を引っ張ってきた王者が、さいたまスーパーアリーナのリングで、これまでのプロレス人生すべての思いをぶつける。【松熊洋介】