WBAスーパー、IBF世界バンタム級王者井上尚弥(28=大橋)が、11月に首都圏で約2年ぶりの国内凱旋(がいせん)となる防衛戦に臨む可能性が高まった。IBF同級1位マイケル・ダスマリナス(28=フィリピン)を3回TKO撃破したことを受け、井上陣営は20日、年末に次期防衛戦を設定。交渉が順調に進めば、ノニト・ドネア(38)とジョンリール・カシメロ(31=ともにフィリピン)の勝者との4団体統一戦になる可能性も出てきた。

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19年11月のWBSS決勝以来、国内リングから遠ざかる井上が、2年ぶりの国内凱旋(がいせん)マッチに臨む計画が本格スタートした。井上陣営によると11月に首都圏での開催に向け、会場探しに入るという。以前から所属ジムの大橋秀行会長(56)は「コロナ禍のため、どうなるか」と慎重な姿勢を崩していないが、2戦連続聖地防衛を成功させたことで、久しぶりに国内リングにカムバックする可能性を否定しなかった。

対戦相手は未定だが、早くも同陣営は他団体王者との王座統一戦を想定している。今回の井上のファイトマネーは2戦連続で100万ドル(約1億1000万円)となったが「対戦する王者も同じ程度のファイトマネーにならなければ日本開催はできないだろう」(同陣営)と説明。バンタム級では破格の両王者ともに100万ドル超えという「ダブルミリオン」マッチになると明かした。

8月14日(日本時間15日)のドネア-カシメロ戦の結果や、勝者の体調の懸念は残るものの、ドネアは米メディアのインタビューで「井上と年末にやろう。彼はそれを望んでいるし。私も望んでいる」と年内中の対戦を希望。ドネアがカシメロを下し、WBC、WBO統一王者になった場合、交渉はさらにスムーズに進みそうだ。

ドネア-カシメロ戦の勝者との対戦を待つことができるかを問われた井上は「順調にやれるのであれば待ってもいいかな。WBO、WBCのベルトに焦点を合わせたい」と統一戦にこだわる姿勢を示した。8月に誕生するであろうWBC、WBO統一王者の動向次第では、2年ぶりの国内マッチが4団体統一戦になる可能性も十分にありそうだ。井上が日本人初、史上7人目となる4団体統一王者になる瞬間が、日本で見られるかもしれない。

◆世界主要4団体統一王者 過去6人誕生している。世界主要4団体となって以降、04年にバーナード・ホプキンズ(ミドル級)、05年にジャーメイン・テイラー(ミドル級)、17年にテレンス・クロフォード(スーパーライト級=すべて米国)、18年にオレクサンドル・ウシク(クルーザー級=ウクライナ)、20年にテオフィモ・ロペス(ライト級=米国)が達成。そして、階級最強トーナメントのWBSSスーパーライト級覇者ジョシュ・テイラー(英国)が5月23日、ホセ・カルロス・ラミレス(米国)との4団体統一戦を制し、史上6人目の統一王者になった。

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