人気キックボクサーのぱんちゃん璃奈(27=STRUGGLE)は、ようやくたどり着いた最高峰の舞台で女子キックボクシングの魅力を体現する。19日に行われるRIZIN30大会(さいたまスーパーアリーナ)に初出場。19年2月のプロデビューから11連勝の無敗の女王は、昨年から「格闘技界の1番」だというRIZINのリングに立ちたいと思うようになった。

初となる女子キックボクシングの試合では、内容にもこだわる。「パワー、スピードは男子の方があるが、女子には負けられない気持ちがある。昨年焦って出なくて良かった。さらに実力を付けて、今この場に立っている」。対戦するのは10年にプロデビューし、すでに40戦を戦っている百花(28=魁塾)。「自分より4倍も経験しているが、100%を出すだけ」と自分を信じ、最高の戦いをRIZINファンに届ける。

女子キック界を引っ張るぱんちゃんは、自分が頑張ることで「女子選手がもっと気合が入ると思うし、私を倒したいという人が出てくる」とレベルアップを期待する。さらに「勝って『また見たい』と言われたら出るつもり」と今後の出場も示唆した。その理由の1つに、RISEで活躍する寺山日葵との対戦を見据える。寺山は12日の大会で実力者小林愛三相手に判定勝ちを収めた。ぱんちゃんは「(戦って欲しいと)1番声が上がっている。中立した立場のRIZINの舞台で戦いたい」と語った。

女子格闘技の発展は、以前から力を入れてきたRIZIN榊原CEOの願いでもある。若い選手も力を付けてきているが、コロナ禍で海外選手との戦いが実現しない中、相手探しに苦労しながらも試合を組んできた。「ぱんちゃんの相手もかなり苦労した。総合格闘技の試合の中で、迫力のある異彩を放つことができるか」と期待をかける。

ぱんちゃんは、先月新型コロナウイルスのワクチンの副反応で顔が腫れるなどの不運に見舞われた。8月中は練習に集中できず不安もあったが「サイズは日に日に成長している。見せかけの筋肉じゃない。相手をビビらせるぐらい頑張る」と逆境を跳ね返す。

無敗の女王ながら、実は「我慢強くない」という。それでも「負けず嫌いなら誰でもできる」。手足も長く、モデルのような立ち居振る舞いで、人気も高い最強ファイターが、RIZINファンに強さと美しさを披露する。【松熊洋介】