元WBA女子世界アトム級王者宮尾綾香(38=ワタナベ)が約2年5カ月ぶりに世界王座を奪回した。IBF世界同級王座決定戦で、同級2位として、同級1位松田恵里(27=TEAM10COUNT)と王座を懸けて拳を交え、2-0の判定勝利を飾った。19年9月、モンセラット・アラルコン(メキシコ)に敗れてWBA女子同級王座から陥落して以来となる世界王座返り咲きとなった。

2度目の世界挑戦となるアマ出身のサウスポー松田に対し、宮尾は右ストレートを軸に攻撃を展開。テクニックのある相手に終盤、ワンツーを決めるなどレベルの高い攻防を繰り広げ、10回を戦い抜いた。世界ベルトを手にした宮尾は「勝った手応えはありました。ポイントを取れたラウンド、取れなかったラウンドを考えて戦ったつもり。良かったし、ひと安心。本当にベルトが欲しかった」とリング上で涙を流した。

08年にプロデビューした宮尾は昨年8月に38歳を迎えた。ボクシングは37歳が引退年齢となる。宮尾のような世界王座獲得など実績あるボクサーは現役続行可能だが「自分では辞めようとは思っていなかったが、他の人から『引退』と言われたらどうしようと思っていた」と本音も吐露。「本当に折られたところをしっかり立て直すことは大変でした。勝てないと生き残れないので」と世界ベルトを取り戻し、安堵(あんど)の笑みを浮かべていた。