ボクシング16年世界ユース選手権で日本人初制覇(フライ級)を成し遂げたアマ13冠の堤駿斗(23=志成)が13日、東京・大田区総合体育館で東洋太平洋フェザー級5位ジョン・ジェミノ(30=フィリピン)との同級8回戦でプロデビューを果たす。

WBO世界スーパーフライ級タイトル戦となる井岡一翔-ドニー・ニエテス戦のアンダーカードとして組まれた。

プロテストはB級(6回戦)合格ながらも、日本ボクシングコミッションにアマ実績を認められ、史上10人目となる特例でのA級(8回戦以上)でプロのスタートを切る。22年デビューの新人の中で、もっとも世界に近いとされる堤とは何者なのか。プロ向きなエピソードを交えて紹介する。

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◆那須川と幼なじみ 幼少から中学1年まで空手とキックボクシングで、無敗の格闘家・那須川天心と一緒の道場(ジム)で練習してきた。ボクシング転向を表明している那須川との対戦オファーが届いた場合は「やりたいです」。

◆日本初の世界ユースV 進学した千葉・習志野高の2年だった16年にロシア・サンクトペテルブルクで開催された世界ユース選手権でフライ級を制覇。国際ボクシング連盟主管大会で当時初めて男子で優勝。

◆井上2世 高校3年時の17年全日本選手権で井上尚弥以来、6年ぶりに高校生王者に。これで高校6冠となった。実際、大橋ジムに出げいこした際、井上ともスパーリングした経験がある。

◆東京オリンピック(五輪)逃す 20年3月の東京五輪アジア・オセアニア予選でフェザー級にエントリー。1回戦敗退で五輪出場枠を獲得できず、21年6月開催の世界最終予選がコロナ禍で中止となり、ランキング上位にいなかったこともあって五輪出場消滅。

◆弟はパリ五輪 3歳年下の弟麗斗も東洋大で世界ユース選手権(ライト級)で優勝。「弟がパリ五輪に出る前に世界王者となって自分が刺激を与えられる関係に」。

◆特例A級デビュー 所属ジムの申請を受け、アマ実績を日本ボクシングコミッションに認められて特例のA級(8回戦以上)デビューする。過去、井上尚弥ら9人が特例A級デビューし全勝している。

◆デビュー前に「聖地」へ 5月中旬から3週間、米ラスベガス合宿を敢行。同門の先輩となる井岡も師事する名トレーナー、イスマエル・サラス氏に指導を受け、ロンドン、リオデジャネイロ両五輪2連覇のロベイシ・ラミレス(キューバ)ともスパーリング。

◆盟友 同じ東洋大ボクシング部で活動した史上初高校8冠を含むアマ10冠を成し遂げた今永虎雅(大橋)とは盟友関係。「(今永には)対抗心というよりも自分も良い試合をして良い刺激を与えられるような試合をしたい」

◆プロの階級 スーパーバンタム級か、フェザー級で世界を目指すことになる。アマチュア時代は連日の試合で減量苦になることもあったというが「プロなら計量後にリカバリーできる」とプロ向きであることを強調。

 

◆堤駿斗(つつみ・はやと)1999年(平11)7月12日、千葉市出身。小学5年で空手からボクシングに転向。キックボクシングも並行して習い、中学2年からボクシング一本に。U-15、アンダージュニアなどで全国制覇。習志野高時代はフライ級、バンタム級で高校6冠を達成。全日本選手権も制覇するなどアマ13冠。家族は両親と兄、弟。身長171センチの右ボクサーファイター。