東洋太平洋フライ級13位桑原拓(27=大橋)が王座奪取に成功した。

同級王者ジーメル・マグラモ(28=フィリピン)に挑み、3-0の判定勝ちでプロ初のタイトルをつかんだ。序盤から足を使いつつ、左ジャブ、ワンツー、左ボディーなどでマグラモを支配。昨年7月、ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に挑戦し、10回TKO負けを喫して以来、2度目のタイトル挑戦でプロ初ベルトをつかんだ。

プロ初黒星を喫した昨年7月を振り返った桑原は「やっぱり昨年、この場所で日本王座に敗れて本当に、自信などすべて失って目の前が真っ暗になった。負けた後は、この舞台にはい上がってくることすらも自信がなかった。でも大橋(秀行)会長にチャンスをいただけた。負けたら終わりという重圧でやっていた。ここにベルトがあってほっとしています」と安堵(あんど)の笑みを浮かべた。

持ち前のスピードに加え、時に打ち合える力強さも加わった。約1年間の成長をみせての王座奪取となり「スピードスターというニックネーム通りの速さを残しつつ、緩急をつける、強弱をつけるパンチで相手を翻弄(ほんろう)して相手の重圧を受けないことを心掛けた。プレスの強いマグラモ選手に苦しめられましたが…」と反省も忘れなかった。

これで東洋太平洋王座ベルトとともに世界ランキングも手にできる見通し。桑原は「世界(挑戦)はまだまだだと思う。この後、(WBAスーパー、WBC、IBF世界バンタム級王者)井上尚弥選手にスパーリングパートナー指名されているので4団体統一に向け、お手伝いしたい」と3団体統一王者の胸を借りつつレベルアップを図っていくつもりだ。