WBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級、東洋太平洋同級王者の力石政法(29=緑)が夢の兄弟世界王者へ前進した。世界挑戦経験のある元世界2位リカルド・ヌニェス(29=パナマ)と対戦。3回2分16秒KO勝ちした。「世界前哨戦」に快勝し、次は世界を目指す。新設された日本スーパーミドル級王座決定戦は45歳で戴冠を狙った同級1位野中悠樹(渥美)が、同級2位帝尊(たいそん)康輝(30=一力)に判定で敗れた。

    ◇    ◇    ◇

力石の左ボディーが突き刺さった。3回2分16秒、世界挑戦経験もある強敵のヌニェスはキャンバスに膝をつき、立ち上がることはなかった。会心の勝利だが力石は苦笑い。「結果は80点だけど内容は10点ですわ」とダメだしした。

約2週間、単身で行ったフィリピンでのスパーリング合宿から帰国後、体調を崩した。約2週間、練習できず「スタミナに不安があった」という。実際、試合で今までにない苦しさを感じていた中で、3ラウンドで勝負をつけた。「よかったぁ、本当に。でもダメダメでしたわ」と言った。

リングサイドに元WBC世界ライトフライ級王者の兄、矢吹正道が左アキレス腱(けん)断裂の重傷を負いながら駆けつけた。「兄ちゃんの『ボディーを狙え』という声が聞こえたんで」と兄弟の絆で勝利を勝ち取った。次戦は「世界(挑戦)一本ですけど、課題もあるんでこだわりはない」。来年1月の3150FIGHTの大舞台で世界初挑戦を目指す。【実藤健一】