無敗の格闘家でプロボクシング東洋太平洋スーパーバンタム級6位の那須川天心(25=帝拳)がボクシングデビュー3連勝を飾った。

WBA、WBO世界バンタム級14位のルイス・ロブレス(25=メキシコ)とバンタム級(53・5キロ)、スーパーバンタム級(55・3キロ)の間となる54・8キロ契約体重8回戦で拳を交え、TKO勝ちを収めた。これで格闘家時代からのプロ公式戦は区切りの50連勝となった。

転向2戦目となる昨年9月のメキシコ・バンタム級王者ルイス・グスマン戦ではダウンを奪って圧勝した。しかし4回途中に左拳を痛めた影響もあってKO勝利を逃した。最終的に左拳は骨折と診断され、本格的にミット打ちや実戦練習に入ったのは12月に入ってから。実力者となるメキシコ勢パートナーとのスパーリング開始は年明け4日だった。那須川は「改善点を毎日、1つ1つクリアしていった感じ。前回の試合で左拳の骨が折れてしまったが、それもしっかりと回復しているし、左手を使えなかった期間もずっと(他の練習を)やりこんできた」とキッパリ。自信を胸にリングに立っていた。

将来的な世界挑戦を見据え、バンタム級転向も意識した契約ウエートも順調に減量成功。「体重づくりだけでいったらキックの時と変わらない。50回ぐらいやっている。ちゃんと脂肪を削って、ずっと用意して。水抜きに頼らず、ちゃんと脂肪を削って。カスカスな状態ではないし。すごく良い状態」と手応え十分で転向3戦目を迎えていた。

所属ジムの本田明彦会長は、那須川の詳細な育成方針を示す。年3~4試合ペースで試合を組み「25年末には世界戦になるよ」と明言。転向10戦目あたりに世界挑戦させる方針だ。昨年4月のプロデビューから23年は2試合、年間で3~4試合を重ねていけば、3年目となる25年末には8~10試合を消化する。転向から1年が経ち、那須川のボクシング世界王者への道、輪郭がみえつつある。

「この日のために前回と前々回にやれなかったことを詰め、それだけやってきた。KOを狙うというか、チーム一丸となって。僕たちは全部やってきたので、それを出すだけ」。那須川の世界王者への「3年計画」の2年目。その初陣の快勝劇で、ロードマップが順調に進んでいることをリングで証明した。

 

◇ラウンドVTR

▽1回

那須川はどっしりと構えて、じりじりとプレッシャーをかける。右ジャブを相手の左手の内側に差し込んで顔面をとらえた。ラウンド中盤には右ジャブから左ボディーアッパー。さらに右ジャブ3連発からキレのある左ストレートをヒットした。相手はラフなフックで応戦した。

▽2回

那須川は前に出てプレッシャーをかける。右ボディーフック、左ストレートをヒット。相手のパンチを外して、すぐに反撃のカウンターを狙う。ロブレスも手数が増えるが、那須川がロープにつめる場面が多くなった。

▽3回

那須川の攻勢が強まる。左ボディーアッパーを軸にして、相手を攻め立てた。サイドに動いて左ストレートもヒット。相手のパンチをステップワークではなく、ブロックで止めて反撃に移った。ラスト20秒で強烈な左ボディーストレートを叩きこんで、相手の動きを止めた。