ノーランカーの辰吉寿以輝(27=大阪帝拳)が、日本ランカーを撃破した。同バンタム級10位与那覇勇気(32=真正)と対戦。激しい打ち合いとなったが、判定2-0で勝利した。これで日本ランキング返り咲きに近づき、元WBC王者で父の丈一郎(53)と同じバンタム級も視野にタイトル初挑戦を狙う。戦績は、辰吉が15勝(10KO)1分け、与那覇は13勝(8KO)6敗1分け。

    ◇    ◇    ◇

辰吉が、難敵を退けた。昨年4月にデビュー戦の那須川に判定負けも倒れなかったタフな与那覇と対戦。4回に左フックを起点として一気に連打に持ち込んだ。しかし、左フック、右ストレートをヒットさせるもダウンは奪えず。8回を戦って、判定。ジャッジは1人が76-76、2人が77-75の2ポイント差で辰吉を支持。判定2-0で勝利した。

「倒して勝ちたかったけど、相手も根性があって。いい選手でした。試合ができてよかったです」

リングサイドにいた元WBC王者の父丈一郎については「またどうせ文句ばっかり言われるので、とりあえず聞き流しておきます」と言って、笑いを誘った。

小さなきっかけから一気に繰り出す連打が持ち味。「パンチが当たって、相手がひるんだ瞬間は分かるんです。あとはいくだけ。ラウンドの残り時間なんて考えたことない。1秒あれば、ボクシングはKOで終わる」。好機にたたみかける闘争本能は、平成のカリスマだった父譲りだ。

子どものころは、関西の有望なボクサーたちにつけられた“辰吉2世”という枕ことばを不思議に思っていた。「辰吉2世って俺やんな?」。そんな次男は15年4月のプロデビューから10年目に突入した。コロナ禍でブランクをつくったが、無敗レコードを継続。「いつまで続ける、とか考えてない。最終的に世界王者になることは決めている」と腹をくくってリングに上がる。

「判定やったけど、今年は何らかのタイトルがとれるように、頑張っていきます。引き続き応援よろしくお願いします」。

本来はスーパーバンタム級だったが、父と同じバンタム級=国内屈指の激戦階級も視野に入れる27歳。「いつまでも『辰吉ジュニア』とかって言われている場合じゃない」。いよいよタイトル戦線に、殴り込みをかける。【益田一弘】