プロボクシング4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(30=大橋)が1日、福岡市で行われたWOWOWエキサイトマッチ「ファン感謝祭2024in福岡」に参加した。現在は「調整中」となる5月6日、東京ドームでのWBC世界同級1位ルイス・ネリ(29=メキシコ)との防衛戦に触れ、ネリが挑戦者として「もう今は有力」と明かした。さらにネリと2度(17年8月、18年3月)対戦した元WBC世界バンタム級王者山中慎介氏(41)と展開したトークでは「打倒ネリ」へのエールを送られた。

イベント途中には井上、山中氏によるマスボクシング(軽めのスパーリング)が披露された。井上が左ジャブから右を繰り出せば、サウスポーの山中氏からも素早い左ストレートが放たれるなど、軽めながらも緊張感あふれる攻防に、集まった約300人のファンからも「おおっ!」と大きなどよめき、大きな拍手が起こった。さらに山中氏からの提案で「延長していいですか? 井上尚弥に対する絶対もらいたくないパンチ。サウスポーに対する左ボディー。どうやって打っているか見てみたい」と“延長戦”も開催された。

井上は「左ストレートだけ警戒して、左ボディーは打たない」といいつつ、接近戦になった際、鮮やかに左ボディーを打ち込んだ。すると山中氏は「これが嫌なんですよ」と、暗に同じサウスポーとなるネリ対策を伝授した形となった。井上は「山中さん、引退して6年ぐらい経つのに、向かい合った時に『入ってくるんじゃねえぞ』というオーラがありました。現役時代に対戦していたらと考えるとやっぱり怖いですね」とうなずいた。

すると山中氏は「一生懸命にほめてくれてありがとう」と感謝しながら、対峙(たいじ)した時に感じた井上の強さを素直な心境を口にした。同氏は「笑いながらも(井上に)全部読まれているなと感じはありました。こういう風に向かい合う機会はなかったので貴重な経験になりました」と大粒の汗をぬぐっていた。