大相撲秋場所(13日初日、東京・両国国技館)の新番付が8月31日に発表されて、右膝の大けがで一時は幕下まで陥落した栃ノ心(27=春日野)が小結に復帰した。幕下からの再三役は戦後3人目、西幕下55枚目からは戦後最も低い地位からの復帰となった。

 やっと、復活したと胸を張れる。栃ノ心は、師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)にハッパを掛けられていた。「三役に戻るまで復活したとは言えないぞ」。この言葉が励みだった。大けがを乗り越えて、3年ぶりに就く小結。「うれしいです。幕下から頑張って戻ってきました」と喜んだ。

 13年名古屋場所で右膝の前十字靱帯(じんたい)と内側側副靱帯を断裂した。3場所連続で全休し、西幕下55枚目まで陥落。運動できない体は当時、最大177キロまで増えてしまった。

 レタスとキャベツ、リンゴだけの食生活を課して、砂浜を延々と歩き、一気に27キロ落とした。そこを起点に、今の体をつくった。現在167キロ。「けがする前は157キロくらい。10キロ違う」。以前よりも強い、鋼の体で三役に戻ってきた。

 西前頭筆頭の夏場所で9勝したが、翌名古屋は東の筆頭止まり。41年ぶり3人目の不運だった。だが「悔しかった」心を切らさず、千秋楽で勝ち越し。幕下55枚目から戦後最大の返り咲きを果たした。過去4場所の小結はすべて6勝9敗だけに「勝ち越さないとね」。6月には結婚もした。けがする前とは心も体も、張りが違う。【今村健人】