日刊スポーツが行った人気力士アンケート「第6回大相撲総選挙」は、横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)が6連覇を果たした。最多だった昨年をさらに5000票以上も上回る総数6万3579票のうち、1割を超える7074票を獲得。猛追する宇良、高安を振り切って「不動のセンター」を死守した。2位には変幻自在の業師、宇良が初参戦で大躍進。新大関高安も昨年の12位から3位に入った。

 やはり、稀勢の里は強かった。当人は結果を知る直前「順位、落ちました?」と笑いながら尋ねたが、不動のセンターは譲らなかった。25歳だった12年から6年連続の首位。「ありがとうございます。ありがたいですね。ファンあってのことですから」と感謝した。

 横綱になって初めての総選挙。これまでは優勝や昇進にあと1歩届かないもどかしさが、ファンを一種の中毒のようにとりこにしていた。今回は? 「念願だった優勝、昇進を果たしたのになかなか安心させてくれず、いつまでも放っておけない。魔性の男」(20代女性)「遠い存在になり、違う力士を応援しようと思うのですが結局、一番力が入る。それだけ人を引き付ける魅力を持つ横綱」(40代女性)。簡単に“卒業”するファンはいないようだ。

 弟弟子との“絆”もファンの心をくすぐった。高安の大関昇進伝達式では、本人以上に喜んだ。「僕はあまり人のことでは喜ばないけど、本当にうれしかった」。その姿に「あんなにはしゃいでいる稀勢の里はめったに見られない」(20代女性)「あのはちきれんばかりの笑顔が稀勢の里の人柄を物語っていて心から敬愛します」(40代女性)。

 夏場所途中休場の原因となった左上腕付近のけがも「大丈夫ですよ」としか言わない。言い訳も弱音も一切ない。その生きざまを知っているから「日本人が横綱になったからではなく、ずっと努力してきた稀勢の里が横綱になったからこそ日本中がうれしいのです」(30代女性)という声がある。6連覇は必然だった。【今村健人】