大相撲初場所の番付が26日に発表され、竜電(27=高田川)が06年夏場所の序ノ口デビューから12年目で新入幕を果たした。

 都内の同部屋で会見を行った竜電は「1番上にしこ名が乗るのが夢でした」と東前頭16枚目に自分のしこ名が載った番付表を指さし、笑顔を見せた。

 山梨・竜王中卒業後に角界入り。“たたき上げの大器”と注目を集めたが、新十両の12年九州場所8日目に右股関節を骨折。「交通事故でも折れるはずのないところ」と師匠高田川親方(元関脇安芸乃島)が言う部位をその後2度も折り、2年間は稽古もできず、番付は急降下。「番付からしこ名だけは消したくない」と14年初場所から序ノ口で4場所連続1番ずつ相撲をとり続けるなど、どん底の日々を過ごした。

 高田川親方はこの日の会見に同席。「同じ場所を3度骨折しましたから。それこそ地獄を見たから。よく我慢しました」とうなずいた。「けがさえなければ(弟弟子の)輝より先に入幕していた」という愛弟子に「一からやり直せ」とハッパをかけ「前に出ろ。引くな。はたくな。スピードスターになれ」と言い続けたという。

 竜電は「我慢でした。このままじゃ終われないという気持ちでしたし、親方や(故郷の)山梨の皆さんが“頑張れ”と支えてくださいました」と負傷後の5年間を振り返る。関取経験者の序ノ口陥落後の新入幕は、92年九州場所の琴別府以来史上2人目。「前に出るスピードある相撲で、2桁勝利を目指します」と表情を引き締めた。