西十両筆頭の旭大星(28=友綱)が同11枚目の貴源治を突き出し、勝ち越しを決めた。北海道出身力士の新入幕となれば、92年初場所の立洸以来約26年ぶり。かつては大鵬、北の湖、千代の富士ら横綱を次々と輩出した「相撲王国」北海道を盛り上げていく。西前頭3枚目の栃ノ心は1敗を守り、初優勝に王手をかけた。

 立ち合いで右に変わった旭大星が、休まず攻めて念願の勝ち越しを決めた。1度は立ち合いが合わず、突っかけた。これが相手心理を揺さぶったのか、2度目の変化で完璧に優位な体勢をつくった。土俵下へ突き出すと笑顔で花道を引き揚げた。前日12日目まで今場所初の連敗。「長かった。いつも給金相撲は硬くなるけど今場所は特に。(幕内に)上がるか上がらないかは分からないけど、下がることはない。ホッとした」と、満面の笑みを見せた。

 昨年末は元横綱朝青龍に胸を借りた。「朝青龍を押し出したら1000万円」というインターネットテレビ局の企画で元朝青龍が来日し、旭大星の師匠の友綱親方(元関脇旭天鵬)と親交がある関係で、部屋で約20番申し合いを行った。詳細は覚えていないが、一方的に負けたという。それでも「(土俵際の)残り方とかうまくて勉強になったし『立ち合いの次の動きを速くしろ』とアドバイスをもらった」と収穫を得た。

 今場所前の稽古で首を痛めるなど体は悲鳴を上げるが、心は癒やされている。昨年12月にスコティッシュフォールドという猫のオスとメスをそれぞれ1匹ずつ購入。「ブン太」と「キナ子」と名付け「めちゃくちゃかわいい」と新たな“家族”にメロメロ。もちろん昨年9月に結婚した芳恵夫人への感謝も忘れず、この日も「結婚したことで、一層頑張らないといけないと思った」。6月9日の披露宴は幕内はもちろん、自己最高位で迎えるつもりだ。

 来場所での新入幕の可能性が高まり、同じ北海道出身の芝田山親方(元横綱大乃国)も「部屋も一門も違うが同郷としてはうれしいこと。最近は北海道出身の力士が減っているが、これに続く力士が出て相撲王国北海道の復活となってくれればいいね」と喜んだ。

 今場所後は故郷の旭川に帰省する予定だ。「北海道の人にいい報告ができる。勝ち越せなかったら、帰るのをやめようかと思った」と笑った。「まだ残り2日あるので頑張りたい」。さらに勝って、新入幕を確実にするつもりだ。