大相撲春場所(11日初日、エディオンアリーナ大阪)の新弟子検査が3日、大阪市内の病院で行われ、平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)女子スピードスケート金メダリストの高木菜那・美帆姉妹と同郷の岩森凌(18=八角)ら43人が受検、全員が体格基準をクリアした。合格者は内臓検査の結果を待って、初日に発表される。

 岩森は高木姉妹と同じ北海道中川郡幕別町出身で、札内北小の後輩。「高木さんの活躍は同じ幕別出身者としてうれしいし、自分も頑張らなきゃという気持ちになります」と笑顔を見せた。高木姉妹は五輪で規格外の大活躍を見せたが、岩森もある意味規格外だ。身長190センチ、体重190キロはともに受検者で1番。スケートは札内北小の授業で挑戦したが、すでに29センチあった足に合うスケート靴がなく「我慢して履いてました」と苦笑いで“断念理由”を説明した。

 札内中に進学後、はまったのは音楽。最初はエレキギターに挑んだものの、手がでかすぎて6本弦を一気に2本押さえてしまい、4本弦のベースへ…。幕別高では軽音楽部でコピーバンドにいそしんだ。相撲との出会いは同高2年の時、柔道部の助っ人にかり出された全道大会で、八角部屋関係者の目にとまった。「先生や友だちに『体がでかいから相撲でスカウトされるぞ』と冗談半分で言われていたら、本当に声をかけてもらった。ビックリしました」。不安が先立ち2度断ったが、1年後に再び勧誘され、挑戦を決めた。

 「この体を生かした仕事をしたかった。だから一般企業なら警備会社などを考えていたんですけど…。思い切って、頑張ってみようと思った」。昨年9月には秋場所千秋楽を見学した。こと体の大きさに限れば「みなさんがそれほど大きいとは思わなくて『やっと自分の世界に来たんだ』と感じました」。同郷の金メダリストに負けじと関取を目指す。「コツコツ頑張る力士になりたい」と目を輝かせた。